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【2021年5月 ver】朝起きて、夜寝るまでの「最高の1日」を考える(指南書付き)

これは古性のちが恒例で行っている「最高の1日を考える」の「こうなれば最高の1日だ」を綴ったものです。後ろの方にはやり方も書いてあるので、やってみたい方はチャレンジしてみてください。

【2021年5月 ver】朝起きて、夜寝るまでの「最高の1日」を考える

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春の朝6:00は、思いの外まだ肌寒い。 
ふわと大きなあくびをひとつ、ベッドの足下をのぞくと二匹の猫達がぴたりと体をくっ付けて幸せそうに眠っている。

 一体どこから入ってきたのかときょろきょろ辺りを見回すと、そういえば昨日、隣の部屋の窓を開けたまま寝てしまったのだ。
どうりで寒いわけだ。

わたしは猫たちを起こさないようによいしょと立ち上がると、肌触りの良い布でできた刺繍のワンピースにぺらりと着替える。 
ちょっと控えめな鳥の声と、全く控えめじゃない隣人の笑い声が仲良くミックスされた音が窓から届く。
がやがやと、これからちょっと遅いお祈りへと向かう人達の足音もそこに混じって聴こえてきた。 

ああ、今日も町が呼吸をしている。 

1年の1/3くらいをここインド・リシケシュで過ごすようになって、3年が経った。 残りを日本の瀬戸内沿いで、もう半分を東京で過ごしている。わたしはこの生活を「地球多拠点生活」と呼んで楽しんでいる。 一緒に生きていたい街がたくさんあってひとつを選べず、気付いたらこうなっていた。

 「移動ばっかりで疲れないの?」と心配してくれる人もいる。 
だけれど海を越える時の思考がふうわり緩んでいくあの感覚を一度覚えてしまうと、もうやめられない。疲れだとか面倒くささだとか、そんなものが入ってくる隙間は一切なくなるのだ。

 軽く髪の毛を整えてから階段で1Fまで降りていくと、隣の家のママが私のリビングに立っていた。

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ママは「ナマステ(おはよう)、ノゾミ」とわたしに声をかけると、買ってきたばかりの甘いパンだとか、サモサだとか、チャイを木のテーブルの上に広げていて、朝ごはんの支度を始めている。
 「ママ、いつもいいのに」と言うと「隣の家なのだから、家族のようなものだ」とお決まりのセリフが帰ってくる。

 ジュージューと美味しそうな音と匂いが漂い始めた頃、隣の家のパパ、息子ふたり、小さな女の子たちも「ナマステー」と声をかけながら当然のことのように家に入ってくる。 

わたしも手を振り答え、我が家のリビングはサザエさんの食卓のような賑やかさに変わる。
 “隣人は家族みたいなものである“ この感覚はここインドならではの独特なもので、最初の頃は戸惑ってしまった。 だけれど、この街を離れると途端にママの味と、この光景が恋しくなる。 
つまり私もすっかりリシケシュの朝ごはん文化に染められてしまったのだ。

 この“サザエさん式朝食会“は大体週に3日ほど行われるのだけれど、日中ひとりで黙々と仕事をする事が多い私にはありがたい。 
他の街で過ごしている留守中も、この家族たちが掃除をしてくれたり、何かと面倒を見てくれる。私は本当に、良いところに家を借りた。

 「今日もお仕事?」サモサをかじりながら聞いてきた1番小さな女の子、ミーニャに、そうだよ、と返す。
 「何時におわる?ビーズでネックレスつくろうよ」
 ミーニャはそう言うと、ぎゅっと私の手を掴んで、ね?と首をかしげる。
キラキラのこのおめめ目に見つめられると、毎度もう絶対に逃れられない。

 「いいよ。でもおやつの時間まで待ってね」と約束する。
 さあこれは、なんとしてもマッハでやりたい事たちを片付けねばならなくなった。
私がせかせかと食べるスピードを上げると、ふと隣に座っていたママと目が合う。 にっこりと頷きながら「おやつ、何か作るわね」とやる気を後押ししてくれた。 

* 

AM 7:00。賑やかな朝食が終わり、簡単に身支度を整える。 
珈琲を片手に2Fの窓際にある簡易机に座ると、猫達が相変わらずすやすやとベッドの上で眠っているのが目に入った。全くもって羨ましい。

 PCを立ち上げメールを開くと、ずらりと色んな、主に日本からの連絡が並んでいる。 商品の在庫のこと、取り扱い希望のこと。新しい書籍の原稿のチェックと、インドの写真提供のこと。どれもこの数年コツコツと育ててきたものたちだ。

 一番立ち上げまで時間のかかったチャイのブランドは今や私が取締役を務めるBrightlogg,incの看板事業となったし、文具ブランドのじぶんジカンと作ったノートは、ロングセラー商品として、今も毎年新しいデザインを出し続けている。

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言葉を編むことも、写真を撮ることも、何だかんだずっと辞めずに続けている。 (ちなみにチャイのオリジナルブレンドのレシピは、もちろん隣のママ直伝のものだ) 「どんなに売れなくても、自分が欲しいと思ったものをとことんこだわって作り続ける」 というスタンスを貫いた結果は、自分が想像していたよりも、ずっと私を自由に、遠くまで連れてきてくれた。

 何人かにささっと指示を出したのち、2本オンラインで打ち合わせを済ませる。 その後はすべての電源をオフにして、PCタイムは終わり。

お楽しみの本の執筆の時間だ。壁の時計は10時を指していた。

 わたしはノートとボールペンと、あとで渡すつもりのミーニャへのお土産を鞄に入れて、カメラを肩からかけると足早に階段を駆け下りる。 

やっと目を覚ましたのか、後ろで一緒についてきた猫の鈴が揺れる音がした。 なんだあいつ、飼い猫だったのか。

 ドアを開けてやるとするりと隙間を通り抜けていく。 
「またおいで」と声をかけるとにゃー、と一声私にお礼を言った。
 執筆をしお昼を食べて、できれば少し写真も撮りたいな。
15時にはここに帰ってくることを考えると時間は割とある。ならば今日は家から歩いてちょっとだけ距離のある野菜がたっぷり食べられるあのカフェに行こう。 

足を踏み出した瞬間、あ、と思い出しiPhoneの電源を入れ直す。 なんとなく目の前に広がる道にぱしゃりとシャッターを切って、
「おはよう。インドは今日も平和です」
と短いメールを東京で暮らす恋人にいれた。

 *

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 カフェに到着し、いつもの席に腰をおろす。
 グリーンスムージーと12:00くらいにあとで持ってきてほしいメニューを伝える。 
ノートを開いたらもう、集中が途切れるまでは本のアイディアを書き続ける。 今回の書籍はインドの写真とエッセイだから、どうしてもこのリシケシュ滞在中には一通り書き上げたいのだ。 

ぬるいグリーンスムージをすすりながら、時折外の緑に目をやる。 
そよそよと葉が流れる音と、鳥の声。 
ヨガ帰り風の西洋人たちと、まったり歩く牛の姿。 
とりまく空気も環境もとにかく穏やかで。 
この谷の町、リシケシュに住む事を決めた過去の私はなんて賢かったのだろう。 100点満点のはなまるを差し上げたい。 

13:30分。そのうちにランチが来て、良い具合にお腹も膨れ眠くなってきたので、そのタイミングで外に出ることにした。 
ミーニャとの約束まで少しある。
 のんびり人や町の写真を撮りながら、来た道を引き返すことにした。

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「お仕事おわった?」
 家の前で私を待っていたミーニャがぴょんぴょんっと嬉しそうに跳ね上がる。ああ可愛い。
 「うん。また夕方過ぎくらいから少しお仕事しなきゃだけどね。2時間くらいは遊べるよ」 と声をかける。
 えーっと不満そうに声をあげるその後ろからママがひょっこり顔を出して「ノゾミは夜ごはんも来るからその時ね」とミーニャの頭を撫でる。 
あ、わたしの夜ごはんも決まっているのか。 

お家に入って、色とりどりのビーズをバラバラと床の絨毯の上に広げる。
ママが作ってくれた甘いおやつのKala Kand(正直激甘なのだけど、すっかり慣れてしまった)と、これまた甘いチャイを飲みながら、ネックレスや指輪を作っていく。 
日本からミーニャの為に持って帰ってきたスパンコールや綺麗なボタンを差し出すと、涙目になるくらい感激してくれて、顔を真っ赤にしながらママに見せている。
その様子があまりにも可愛くて可愛くて、そっと1枚だけシャッターを切らせてもらった。 

* 

PM 16:30。
そんなことをしているうちに、興奮しすぎて眠くなってしまったのかミーニャはすやすやお昼寝をはじめ、ママにまた夜にと声をかけて自分の部屋へ戻る。 頼まれていた資料を少しだけ進めて、打ち合わせをもう1本だけ。 昼間に撮った写真をPCに移しているうちに、窓から見える景色は夜へとゆっくりゆっくり変わっていき、「ノゾミ、ご飯」とママの声が外からする頃には、時計は19時前を指していた。 

本日2度目のお隣の家訪問。 
仕事から帰ってきたみんなも揃って、2度目のサザエさん式ごはん。 ご飯が終わりみんなでチャイを飲んでいると、満月の夜に気分がよくなってきたのか、突然パパが歌い出した。 
それに合わせて息子たちが手拍子を始める。
ママが笑って、ミーニャが楽しげに踊り始めた。 

そのうちどこからか楽器の音が聴こえてきてみんな一斉に振り向くと、ドアの前で何処からかきた旅人が、ギターを弾いている。

みんながわっと歓声をあげ、お前も入れ入れとチャイでもてなす。 

こんなミュージカル映画みたいな事が、ここリシケシュの日常では起きたりする。 もうすっかり慣れっこになってしまって、わたしも大人しく手拍子に混ざることにした。

 ああ、今日も町が呼吸をしている。 

私の頭にまたこの言葉が降ってきて、次の本のタイトルはこれで行こうか、なんて何処にいても、仕事スイッチがオフにならないのは最近もっぱら私の課題だ。 

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PM 21:00。自宅に戻ってきた。
 最後まで名残惜しそうにこちらを見ていた子供たちに「また明後日くらいに遊ぼうね」と告げる。 
お風呂に入って本を読んで、22時半にはもう眠くなってくる。 

窓を閉めようとして、ふと猫たちの事を思い出して、やめる。
 明日の朝は川のほとりで太極拳でもしようか。 
そしたらきっとまた誰かが声をかけてきて、一緒にやることになるのだろうな。 
部屋の電気を消して、眠りにつく。 

明日も穏やかな1日になりますように。

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ここまで根気よく読んでくれた方、ありがとうございます。
これは私が半年に1度くらいのペースで自分を見直す為にやっている個人ワークショップ「人生で最高の1日を書いてみる」で綴った、妄想の1日です。
気づけば「なんか最近ワクワクしないな」とか「どう生きて行こうかな」と迷子になるたびにノートを広げ、がしがしと書いています。

「人生で最高の1日」ではなく「最高な毎日」を全力で綴る。繰り返し全力で妄想物語を書くことの意味

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最初は全力の妄想だったのですが、繰り返しているうちに少しずつ、現実の部分が増えてきたなと感じています。

ちなみにこれより前の最高の1日は、以下。

「静かな場所で書く」「先に手書きする」など、大事な書くポイントはいくつかあるのだけれど、書き方は箇条書き・物語調、エッセイ調なんでも。自分の肌にあうやり方でOKです。

私のは完全に物語調ですが、過去参考になりそうなものも置いておきます ▽


このワークショップの面白いところは自分でも知らなかった「ころころ変わるもの」と「どうやってもテコでも動かないもの」がわかるところ。人生の優先度や、実は執着しているものことなどが如実にわかります。

私も今回、前回、そして前々回で共通していることがいくつもあって、それらはきっと今世において手放してはいけない、本当に心の底から欲しいものなのだと思います。


書けたらかならず、叶えるための「アイディアの種」を出す

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たのしい妄想タイムが終わったら、ここからが結構大事で。
書きっぱなしで終わらせてしまうと、本当に毎回「最高の1日を妄想するだけ」で終わってしまいます。

今度はこの最高の1日の中から

・理想だけどできていない事
・それを叶えるためのチャレンジアイディア

に分けていきます。
私の場合はこんな感じになりました(一部抜粋)

理想だけどできていない事

・朝6時に起きること
・インド・瀬戸内・東京の3拠点生活
・本を複数出版すること(?)日々文字を綴る理由が欲しいらしい
・英語が日常レベルで話せること
・夜22時には眠ること
・チャイのブランドを運営していること

理想を現実に変えるためのチャレンジアイディア

・朝8時起きから始めてみること(徐々に慣れてゆく)
・インドのビザを調べること
・どんな本を書きたいのか書き出してみる
・チャイのブランドをいつスタートするか決める
・夜ごはんを簡単レシピに変えて料理の時間を短く!
・TVを観る時間を短くして本を読む習慣を取り入れる

チャレンジアイディアが思い浮かばない時は、その間に「分解する」を挟むのがおすすめです。

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できない理由を考えてみる(分解する)ことで、チャレンジする項目が明確になります。


チャレンジを1~3ヶ月で分けてみる

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一気に一度にチャレンジすることは不可能(多分キャパオーバーになる)ので、このアイディアの種を1~3ヶ月に分けてみます。
量は1ヶ月にあんまり詰め込みすぎずに均等になるように。

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なるべく気合がいりそうなものを後ろに、簡単なものを早めの月に持ってくるとチャレンジへのハードルが下がるのでおすすめです。



このワークショップを始めて叶ったこと

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この「最高の1日を考える」を始めて5年ほど。何度もチャレンジアイディアを重ねながら叶ったのはこんなこと達。

・沖縄の島で3ヶ月だけ住んでみるをすること
・一番好きな暑い国(タイ)で暮らしてみること
・エッセーを書いて仕事をしてみること
・チャイのブランドに向けて走り出すこと
・世界を回る旅をすること
・フリーランスとして活動すること
・「三拠点で生活する」という目標へ走り出すこと

もっともっとあるかもしれないけれど、この個人ワークショップを続けていなかったら、多分いつの間にかやりたかった事さえ忘れてしまって、私の人生の選択肢からはとっくに去ってしまっていたと思います。

いつも心の片隅でせっせと水をやり、手放さなかったからこそ叶った事たち。ずっと書き留められていたのは、こうして綴ることをやめなかったからだと思います。


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お気に入りの喫茶や、お部屋や、旅先で。
ぜひ時間がたっぷりとれそうなタイミングで、自分の心との相談タイムにやってみてください。

「最高の1日を考える専用ノート」ができました。

3ヶ月に1度のペースで、現在執筆用のノートを発売しています。
最高の1日を、3つのSTEPと共に4回執筆できます。

気になる方はぜひチェックしてみてください。



いつもありがとうございます。いただいたサポートの一部は書く力の原動力のおやつ代、一部は日本自然保護協会に寄付させていただいています。