しとしと、雨の気配が都会に森を連れてくる
晴れの日より雨を好きになったのはいつのことだろう。
いくら記憶の糸を手繰り寄せてみてもどこにも結目が見つからず、引っかかるのは学校の雨の図書室で楽しそうに変な本を見つけてゲラゲラ友達と笑っている自分だったりとか、一生懸命傘で空を飛ぼうと坂を駆け抜けていく自分だったりとか、そんなものばかりだ。
なので正確には覚えていないのだけれど「雨」という存在が好きです。
朝ベッドの中で目を覚ました時にパラパラ、と聴こえてくる音も好きだし、そんな日の開きかけの本に落ちる暗めの影も好きだし