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「ブランクーシ 本質を象る」展に行ってきた

昨日のこと。東京でお知り合いの方が写真展をしているということで、見に行きがてらアーティゾン美術館でちょうど開催初日だった「ブランクーシ 本質を象(かたど)る」展へ行ってきました。

私は普段美術館もあまり行かないし、ブランクーシのことも全く知らなかったのですが、ポスターなどに使用されている「接吻」という石膏の作品が印象的だったのと、「本質を象る」という言葉になんとなく興味をそそられて、事前情報全く無しで見に行くことに。

そして終わってみて、自らいろいろと調べるほど好きになっていました、笑
とても充実した時間になりました。

写真もOKだったので備忘録的に少しだけ残しておこうかと思います。

コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957) 
ルーマニアのホビツァに生まれる。ブカレスト国立美術学校に学んだ後、1904年にパリに出て、ロダンのアトリエに助手として招き入れられるも、短期間で離れ、独自に創作に取り組み始める。同時期に発見されたアフリカ彫刻などの非西欧圏の芸術に通じる、野性的な造形を特徴とするとともに、素材への鋭い感性に裏打ちされた洗練されたフォルムを追求。同時代および後続世代の芸術家に多大な影響を及ぼしたことで知られる。

オフィシャルサイトより https://www.artizon.museum/exhibition_sp/brancusi/highlight/


入ると、まずはモダンで洗練されつつも存在感が光る作品たちに心が躍りました。

写実的な表現から本質的な具象の表現に移っていくタイミングでポスターに使われている「接吻」が創られ始めたそうです。この作品はブランクーシが生涯こだわり続ける直彫り技法でつくられた代表作でもあります。

ブランクーシの作品でモチーフとしてよく採用されているのが人体や卵型の頭部、魚、そして鳥。これらのフォルムの追求をさまざまなアプローチで行っていたことが伺える展示になっていました。

この壁面パネルの写真はパリ左岸のモンパルナス地区のブランクーシのアトリエの入り口。緑に囲まれ光が降り注いでいてなんとも素敵な場所です。

今回私の中で一番印象深く残ったのがこのアトリエと、アトリエの中でブランクーシ自身が撮影した作品の写真たちです。

うまく説明できないですがアトリエ自体の空気感と作品同士がとんでもなく調和していて唯一無二の世界観ができている。それを写真で完璧に切り取っているような気がしました。

作品撮りを写真家にお願いするも納得がいかず、自分で撮るようになったというエピソードが展示の説明ボードに記載してありました。その説明中に「ブランクーシは写真を再現的なメディアとして用いるのではなく、自らの彫刻の潜在的な側面を引き出すための、いわば再解釈のツールとして位置付けていた」という記載があり、すごく心に残りました。

言葉へのこだわりもあったようで、創作に関する様々なアフォリズム(箴言)も有名だそう。彫刻以外にもいろんなところで独自の感性を磨いていたんだなぁ。

現在ブランクーシのアトリエはパリの国立ジョルジュ・ポンピドゥ-芸術文化センターのすぐ横に復元されているようですが、でもやっぱり、ブランクーシがいた当時のアトリエに行って作品を見れたらいいのになぁ。とそんなことを思いました。




その他、交流があった芸術家とその作品の紹介や、人物、魚や鳥がモチーフのさまざまな代表作を見ることができました。どの作品も極限まで削ぎ落とされたフォルムで、まさに「本質を象る」という言葉がぴったり。

ブランクーシの創作への姿勢やアウトプットは、自分のデザインの仕事(特にロゴ制作)にも通じると思う部分が多々あり、大きな刺激をいただきました。






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