楽譜を感覚的(右脳)に捉えよう! |独学ピアニストの悩み解決します

もっと効率的な楽譜で弾く方法

ピアノを始めて日の浅い方が楽譜を読む時「んー、これはト音記号だからドかな、そして次はレ…」みたいな感じで読んでいませんか?
たいていの人はそうなってしまいます。ピアノ譜表(大譜表)は上の段がト音記号、下の段がヘ音記号になっています(例外もあります)。つまり二種類の譜表が読めない限り、楽譜を見ながらピアノを弾くことは出来ない!ということになります。この時点で忙しい大人の人は「あー、オレ無理!」となりますよね。

楽譜を音名で読めるようになるのはそう簡単ではないのです。音符を音名に置き換えるのに脳の処理能力を使います。その負担を軽減するために別の訓練(ソルフェージュ)が必要になる訳です。でもピアノを弾きたいのに、そんな面倒なことしたくない、と誰もが思いますよね。

ピアノは左右の指が同時に別々な動きをします。つまり、上下の譜表を同時に音名に置き換えて左右別々同時に正しい動きをしなければならない訳です。しかし楽譜をそうやって音名で「読んで」弾いているうちに面倒くさくなってピアノから遠ざかってしまう人もたくさんいると思います。

もし、もっと効率的な「楽譜を見て弾く方法」があったらどうでしょう?

楽譜を捉えやすくする方法をご紹介します。「速読譜法」と言って楽譜を視覚的に捉えていきます。僕はこの方法を少しアレンジして楽譜に記号を書き加えて、感覚的に見やすいよう工夫しました。多くの生徒さんに効果があったので、ここでご紹介致します。

メロディの傾向を知る

まず、統計的に見るとメロディの70%くらいは、同じ音隣り合っている音ひとつ飛ばしの音になっているそうです。あまり音程がジャンプすると歌い辛くなるからだと思います。またピアノの初級学習者(始めてから半年〜1年くらいの方)の教本に出てくる練習曲はさらにその傾向が強くなります。隣り合っている音(2度の音程と呼びます)はとなりの指の鍵盤を弾けばいいので誰でも楽に弾けます。ブラインド(鍵盤を見ない)でも間違いは少ないでしょう。ひとつ飛ばしの音(3度の音程)は隣り合っている音よりは気を使いますが、それでも慣れてくれば楽に弾けると思います。

ということは3度以下それ以外の音程を見分けられれば簡単に弾けるようになります。

その方法と練習法を説明します。

楽譜上のメロディの流れ(音程)をステップ、スキップ、ジャンプの三つに分けて捉えます。
ステップは隣り合っている2度の音程です。
スキップはひとつ飛ばしの3度の音程です。
それ以上に音程が飛ぶ場合はジャンプです。
(同じ音程(1度)は鍵盤上を指が移動しませんので分類しません。)

ピアノは音階が左から右へひとつずつ移動しますよね。(調記号があるならそれに従えば同様)ということは、あなたがメロディの基点となる音に指を置いたら後はスキップするところやジャンプするところだけ気をつけて、楽譜の上がり下がりを山の稜線のように視覚的に捉えればいちいち音名で読まなくても楽々弾けるわけです。

ステップの例

(ステップはドとレのように隣り合った音階です。)
下の楽譜「喜びの歌」のメロディはステップの例です。この曲の主題はほぼステップだけで出来ています。

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スキップの例

(スキップはドとミのように一つ飛んだ3度の音程です。)
下の楽譜(バイエル)の上の段3小節目までスキップの例です。
五線譜の隣り合った「間」から「間」、「線上」から「線上」へ音符が移動しているのですぐにわかります。4小節目はステップの音程で下がっていきます。慣れてくると視覚的に(音名を読まずに)捉えられるようになります。鍵盤も見なくて済みます。

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ジャンプの例

(ジャンプはドとファのように4度以上飛んでいる音階です。)
下の楽譜(バイエル)の上の段1小節目最初の音程がジャンプ5度の音程)の例です。ジャンプは他にも4度、6度、7度などいろいろなバリエーションがありますが、それほど頻繁には出てきません。図のように度数を書き込んでおくとインターバルの音感トレーニングにもなり一石二鳥です。

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練習法の例

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楽譜に、スキップの音程にはに赤線のアンダーライン、音が4度以上飛んでいるところ(ジャンプ)には青線を書き込むというように自分の分かりやすいように印をつけます。アンダーライン以外は隣り合っているわけですからとなりの指を安心して弾いてください。

慣れてくるとステップ(2度)とスキップ(3度)が楽譜の流れの中で楽に見分けられるようになります。そうしている内に音符と鍵盤の関係が感覚的に分かるようになります。ドレミを読まなくても自然に指が動きます。

上級者は初級者の気持ちが分からない

自転車に乗れる人は乗れない人の気持ちが分かりません。ピアノの上級者、講師は楽譜が読めるようになるために何年も苦労したはずなのに、そのことは忘れがちです。「楽譜が読めない内はピアノなんて弾けないんだから、しっかり練習しなさい」という指導をしがちです。僕は楽譜なんてそこそこ読めればそれでOKだと思っていますが。それでも大変な努力が必要だと思います。初級の内はまるで外国語を読んでいるような難しさ、辛さを感じると思います。少しでも楽に、気持ちよく楽譜を読み、ピアノを楽しく弾いて欲しいのでこの方法をご紹介しました。練習曲が楽に弾けて楽しくなってきたら、少しずつ本格的なカリキュラム、楽典を身につければ良いと思います。

ピアノをやめる人が、一人でも減ってくれれば何より幸いです!



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