見出し画像

【公務員のキャリアをアップデートする会】パラレルキャリアで日本発のイノベーションを起こす〜NPO経営×公務員〜

こんにちは。

6月22日(土)に、第2回公務員のキャリアをアップデートする会を開催いたしました。前回(第1回)の記事は、こちら

公務員のキャリアをアップデートする会は、「公のために務める」のが公務員であれば、「公のため出来ること」は、本業で結果を出すことや、公益団体等で兼業すること、NPOで起業するなど様々な形があるだろうと。

そのため「公のため出来ること」は何かを考えることを通して、公務員の様々なキャリアの可能性について考えていく会です。

今回は、官公庁勤務でNPO法人ZESDA(ゼスダ)の代表を務められている桜庭大輔さんをお招きして、お話をいただきました。

桜庭さんが代表を務めるNPO法人ZESDAは、日本の次代を担う産業を生むイノベーションを起こすために、様々な組織や地域、人を繋ぎ合わせて新たな価値を生み出すことを理念に活動されているNPOです。
ZESDA ホームページ http://www.zesda.jp

また、桜庭さんご自身としても、公務員、NPO法人ZESDA代表のほか、研究・イノベーションにおけるプロデュースを研究する学会や、政策形成の支援、パブリテック、イギリス留学の体験のご講演など、まさしく「公のために出来ること」について、様々な取り組みを行われてきました。

桜庭さんの幅広い実践とお考えを聞くことで、多くの公務員がパラレルキャリアに向けて一歩踏み出すきっかけになればと思い開催いたしました。

私の拙い文章だと、どうしても薄まってしまいますが、少しでもその素晴らしいお話の一端を「パラレルキャリア」という観点から以下に概要をお伝えいたします。

冒頭、桜庭さんからは、「何でパラレルキャリアをやりたいのか」ということと、「パラレルキャリア」を行うにしても「労働」が増えることが果たして価値提供につながるのか、という問題提起がありました。

日本では「キャリア=労働」と捉えられ、労働により価値を生み出すという考えに陥りがちですが、イギリス留学などの体験から、三つのキャピタル(カネ(Financial Capital)・コネ(Social Capital)・チエ(Intellectual Capital))の組み合わせにより価値を生み出せる概念に気づかれたとのこと。

特に、コネとチエの組み合わせによって大きな付加価値を生み出すことで、労働生産性を高めることができるのではないかとのこと。

従来は、キャリア=労働者としてのステップアップと理解されがちですが、これまでの労働で培ったコネとチエを活かして労働以外で付加価値を出していこうというマインドが、これからは必要ではないかとのこと。

そして、パラレルキャリアは可処分時間や体力、持てるコネとチエの投資先を考えるポートフォリオを組むこととなるため、サラリーマンから準自営業とも言える業態にジャンプすることになると言えるのではないか、というお話がありました。


まず、「パラレルキャリア」の特性のお話。パラレルキャリアとは、必ずしも並行して行われているものではなく、重層性、循環性、創造性という特性を有し、価値提供をしていくものであるとのこと。

まず、重層的なキャリアのお話。桜庭さんのキャリアを振り返ると、ご覧の通り様々なキャリアが重層的に重なり合っています。


ちなみに、縦幅がキャパシティ且つ投下コストであり、キャパシティが上がれば、出来る活動が積み重なり、且つ投下コストも少なくアウトプット出来るようになっていきます。

写真を見ると、とても多様な活動をされていますが、年次を経て出来る活動も増えていく様が見て取れます。これは、自らの能力の向上のみならず、仲間が増えることでも活動量が上がっていくとのこと。

そして、重層的なキャリアで価値提供するために

①自らの能力を上げること=先ずは最高の兵になるべし、ということ。

②個人から組織へと体制を整えて労働コストを削減し、「労働」ではなく、「コネ(社会的資本)」と「チエ(知的資本)」の組み合わせにより価値向上を図ること。

③家族優先を確保し、中国の儒教の経書である礼記の大学に書かれている「修身斉家治国平天下(天下を治めるには、まず自分の行いを正しくし、次に家庭をととのえ、次に国家を治め、そして天下を平和にすべきである)』の通り、家庭の安定がすべての土台になると心得ること、とのことです。

次に循環的なキャリアのお話。

エコシステムとしてのパラレルキャリアということで、例えば政策形成支援などの活動で得られた経験が、自らの職務、さらにはNPO法人ZESDAによる地方創生事業に活かされるということ。

つまりは、一つのキャリアで得られた価値はそれで終わりではなく、他のキャリアに再利用することで、価値がエコシステムの如く循環していき、さらなる価値を生み出していくことができるとのことです。

写真の通り、今まで経験された様々なキャリアの繋がりが循環して活用されていく様子が分かります。

次に、創造的なキャリアのお話。

日頃お互いが無関心であるもの、決して交わらないようなものの間にギャップがあれば、そのギャップを埋める橋渡しをすることが価値を出すチャンスとのことです。

さらに、「政治」と「行政」のような分かりやすいギャップを埋めて生じる価値や、普段気付きにくいギャップ、例えば「ビジネス」と「芸術」のようなギャップを埋めて生じる価値など、この2種類の価値をバランスよく積み上げることで、より大きな価値提供に繋がっていくとのことです。

例えば、NPO法人ZESDAによる四国の地方産品を中東に紹介していく事業にしても、地方の有する魅力とそこに価値を見出す中東の富裕層との間に、物理的且つ情報のギャップがあるため、その間を埋めることで価値が生じているとのこと。

さらに、その二つのギャップを埋めるプロセスに、行政、メディア、芸術、NPOなど様々なキャリアを統合していくことで、さらなる価値を創造していくものであるとのこと。

この点、多くの地方公務員は人事異動ということで例えば福祉行政をやったり、道路行政をやったり、文化行政をやったりするので、マルチなリテラシーは保有しており、様々なギャップに気付き、創造的なキャリアを築く余地は大いにあるとのことです。

次に最後の振り返り。

パラレルキャリアは、「重層性」、「循環性」、「創造性」を有する。

重層的なキャリアは、必然性の積み重ねであり、予測は不可能。こうありたいと考えて築いているものではないが、キャリアの振り返りは重要。

循環的なキャリアは、あるキャリアで得た専門性を異分野で活用し、かつ異分野から吸収したものを再活用することで成長していくもの。

創造的なキャリアは、自分のキャリアで得たコネ(社会的資本)とチエ(知識資本)を、世の中のギャップを見つけて投入していき価値を提供していくもの。つまり、公務員としての本業で様々な知識を吸収しながら、外部の活動で得たコネとチエを活用して、アウトプットしていける。

さらに、戦略的なパラレルキャリアのまとめとして、冒頭伝えた「労働者」から「準自営」への脱皮を図ること。

これまでの労働で培ったコネとチエを活かして労働以外で付加価値を出していこうというマインドで、キャリアのポートフォリオを組むことで、コネとチエを見直すことが出来るとのこと。

そのコネとチエを、自らの感じる問題意識に投入することで更なる価値が生まれる。その結果が労働生産性を向上させる。

コネは、コミュニティや絆、繋がり、ネットワークをくれる。チエは、知的好奇心を満たし、カネだけでは得られない幸福をもたらしてくれる、とのことです。

では、まず、パラレルキャリアの実践のために、多くの人はどうすればいいのか。

先ずは、出会いを求めてみてはどうか。多くの良き人と深く長く付き合うと、様々な気づきを自分に与えてくれる。

さらに、飲み会の幹事をやってみてはどうか。企画の5W1Hにとことんこだわってみる。いつ、どこで、何を、誰と、どのように、やるのかを考え抜いた企画を経験してみること。この手続きが求めるものを明確化していくことになる。

最後に、ご自身としても、「パラレルキャリア」をやりたくて活動されているわけではなく、「日本がもっとこうなったらいいのに」や「こんなに可能性があるのに勿体無い」という思いを払拭するために、様々な活動をされて来たということ。その活動の結果が、現在のいわゆる「パラレルキャリア」という言葉になっているというお話がありました。

以上がお話の概要です。桜庭さんの大変示唆に富んだ面白いお話が少しでも多くの人に伝われば幸いです。

私の気づきとしては、多くの公務員は人事異動でパラレルキャリアと言える知見を既に持っていること。しかも、その組み合わせは、個人によって異なり、可能性は無限にあると思います。

それを各個人が持つ興味関心や好きなこと、経験値と組み合わせることで、より多くの価値提供が出来ることを、もっと伝えていけば、公務員が公のために務めることの選択肢を本業以外にも増やすことができ、自己実現を図るチャンスが広がるのではないかと思いました。

つまりは、公務員に、今までのキャリアのポートフォリオを棚卸しして、世の中の流れと個人の関心とを組み合わせてストーリーとして意味づけするパラレルキャリアのキュレーターが今後求められていくのではないか。

また、パラレルキャリアを始める前の実践として、桜庭さんが飲み会の企画などをやることをご提案されていたので、その飲み会やイベント企画などの場づくりを支援しても面白いのではないか。

私自身、そのお手伝いを今後も、本企画や活動を通してやっていきたいと思います。

最後に、お忙しい中、講義に来ていただいた桜庭さん、そしてお越しいただきました多くの参加者の皆様にお礼を申し上げます。

ありがとうございました!!!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?