見出し画像

イエローモンキーの10枚目(ただの感想)

イエローモンキーが通算10枚目のアルバム「Sparkle X」を発表した。

私は解散前のイエローモンキーの、当時の典型的な「イタイ」女性ファンだった。
辛い現実をイエローモンキーの存在に縋ってやり過ごしていた。
だから、あの頃はアルバムを聴くことは「音楽を楽しむ」と言うより、「クスリを打つ」に近いものがあった。
切れたら苦しい、だから毎日聴く、日に何回も聴く、みたいな。

それは当時、私自身が疲れて病んでいたのもあるし、多分吉井和哉もいろんなものを音楽に消化・昇華して生きていた、という側面があって、その部分が共鳴したからだと思う。
あの頃、そういう女性ファンは多かったとも思う。

だから再集結と聞いた時、私も(多分私以外の当時イタイ女性ファンだった人たちも)吉井氏も、いろんなことが落ち着いてある意味「大人に」なった今、誰がイエモンを聴くのかな?と思ったものだった。

蓋をあけて見たら、イエローモンキーは「伝説のビッグバンド」になっていて・・・
解散前のリアルを知っている身としては「え?いつからそんな立派なバンドになったの?」って感じだったけど・・・
とにかく再終結後の音楽活動は順調に軌道に乗ったようで、今では安心して遠くから見守るような、そんな母のような気持ちでいる私。

吉井和哉のソロ名義を物足りない気持ちで聴いていた耳に(1stのat the black holeは良かった)、再終結後の最初のアルバム「9999」は、昔を知っている者としては「一味足りない」感は否めなかったが、耳には心地よかった。
足りない一味と言うのは多分、あの頃だからこその「角」「トゲ」なんだと思う。
チクチクしない、痛くないイエモン。
改めて、ああ、大人になったんだなあ、と思ったのだった。

と、「9999」まではどうしても吉井氏の曲と歌に気持ちが持っていかれたのだったが、今回の「Sparkle X」は、最初に聴いた時に入ってきたのは演奏の方、特にEmmaちゃんのギターだった。
(1曲目のイントロがギターだから、というわけではなくて)
とにかく際立ってる。
私なんかが「上手い」という表現を使うのは違うと思うけど、どういえばいいのか、とにかく全曲通してギターの音が頼もしくて、バンドとしてホントに成熟したんだなあと思った。

吉井氏の声には波がある。大病の前後だから仕方ないし、それが記録されてるのもまたバンドの歴史の1ページだと思う。
そして、その分歌が上手くなってる。
私が知っていた頃に比べたら格段に歌が上手くなってるし、なんなら「9999」よりも安定してる。
ああ、プロになったんだなあ、なんて思う。
(活動休止後の自伝を読んで、プロじゃないなあと失望したものだった)

吉井氏作の歌は結構いろいろ示唆に富んでるものが多くて、そういう意味では彼の曲作りのスタンスは昔のままなんだなという安心感。
変わってないんだな、でも年取ったねぇ、なんて笑っちゃったり。
相変わらずの下ネタソングもあるけど、もうそれはいいんじゃない?とか思ったり。
その中で、Emmaちゃんの曲「Make Over」がすごくいい。
穏やかな人柄と、バンドを支える大人な目線が感じられて頼もしい。

解散前のイエローモンキーはとにかく吉井氏の吸引力が強かったけど、再終結後はバンドとしてバランスが取れてる感じがすごく良いなと思う。
結局それって、「丸くなった」「大人になった」ってことで、ある意味、昔を知るものとしては「つまらなくなったな」と感じることもないではないけど、今とこれからの世代に支持されているのであれば、それでいいんだろうとも思う。
私も今はイエローモンキーの音楽を「楽しめてる」し、ね。

腰が痛いからライブには行かない(笑)

11枚目が楽しみだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?