錦糸町のインハウスデザイナー3

最初に会った場所は東京駅付近の公園だったが、2回目以降は
錦糸町で会っていた。Jが指定したのもあったが私も行くのにそう大変
ではないということが了承していた。というものの、なぜ自分がここに来たんだろうと思わずにはいられなかった。とりわけ帰り道にそう感じながら電車に揺られていた。
大体、こうやって会うときは駅の近くの人目のつかなさそうなところで
待ち合わせるが、Jの時はホテルに直接向かうというものだった。
会うはずもないと思うが知り合いに会ってしまうかもしれないという妙な警戒心からだった。そしてホテルのシャンプーやボディーソープ類は匂いで奥さんに勘づかれるからと一切使わず、毎度持参していた。
そんなことまでしてもこうやって遊びたいのか?
それこそ風俗に行っている方が言い訳できるのではと感じずにはいられなかった。
でもその当時Jに言えない関係以上の思いを抱いていたから会えるだけでよかったのである。
こんな関係でと拗れると喧嘩別れになるような気もするが私たちの場合は少し違っていて、お互いに謝り合うという変な状態になった。
2人ともいけない事知っていて、でもやめられなかった、2人ともお互いをいがみ合うことを望まなかった、相手を傷つけたいわけではなかったのだろう。
人には一番言えないところの波長だけが合ってしてしまったということなんだと思う。

つづく