アンチが言う「信者」ってすごい失礼じゃない?って話

 ゲームや漫画でもそうだけど、ある作品のアンチがファンに対して「信者」と呼ぶのがめっちゃ失礼だなと感じてるのでなんでだろうな?と思い文章化しときます。

 まず実際の信者に失礼

 信者って基本的には宗教を信じる人じゃないですか。仏教とかキリスト教とかイスラム教とかユダヤ教とか神道とか。ある作品のファンを「信者」と呼び、さらにそれを「蔑称として使う」こと自体めちゃめちゃ本当の信者に失礼だと思うんですよね。信じるものがあって倫理観や義のためにいいことを積み重ねようとしてる人達の総称を蔑称として使うのって結構危うさがあると思うんです。「信者」へのイメージダウンにも繋がりますし。
さてここでもしこれをツイッターに書き込んだときに100%来るであろうクソリプを勝手に予想します。「宗教を信じて倫理観や義のために大量殺戮したり人種差別生んでるけどな」
それは歴史の話であって、現代においてもLGBTQを差別するような宗教があったり過激な宗派はあれどそれは一部であり、多様性を認めて祝福してくれる宗派があるのもまた事実です。宗教を悪いものとして見る前に、本来の宗教とは人々を守るためのものであり、大昔からあるものを時代を重ねて少しずつ変化しながらその本質は変わらないことを学ぶべきだと思います。この辺の話はデリケートというか宗派によって見方も様々だから「本来宗教が生まれた意味」を考えることによってでしか話せない内容ですし起こした歴史しか見ずにそう判断するのもまたおかしな話です。

「信者」というようになった理由って何?

 これ本当にわからないですし、もし知ってるなら教えてほしいんですけど、日本っていつしかオタク用語に宗教的な言葉が多く使われるようになりましたよね。ファンじゃない人にすすめることを「布教」、コンテンツにお金を払うことを「お布施」……日本の場合、代表される宗教は何?と聞かれると私はちょっと詰まっちゃいます。仏教……いや神道?儒教もあるよね……それくらい神様やそういう類のものが身近でなく(あるいは身近すぎて)、何かを信じるにあたり別のものが代用されやすい国なのは理解できるんですよ。そしてオタクの場合それがアニメやゲームなどのコンテンツになるのも。じゃあ信者は広くファンをさしているのかというとそういうわけでもなく……もちろん、信者を自称する人もいるので必ずしも悪い意味ではないのもわかるんですけどね。でもだいたいが悪い意味で使われているのも事実であり、それがいろんな方面に対して失礼すぎるなとも思ってこうやって書いてるわけですが……。そして前の節を書いていて思ったのは、確かにオタクの中にもいわゆる宗派のような、コンテンツへの解釈がそれぞれ異なっていてどういう派閥にいるのかとか……そういうなにか一つのコンテンツに対して多くのファンがいて、その中に解釈による派閥が生まれており、ファンの内部でも問題になるような人々が現れたりするっていうのは、実際の宗教にも起こっていることだなと思いました。なにか質的に似ているところがあるのは事実だと思います。

本来の文脈的には信者よりもファンの方が狂信的な意味だよね

 アンチが使う「信者」の文脈って「ただ信じていて批判されたときに猛攻撃するような人達」的に使われがちだけど、そもそも信者はbeliever, followerあたりが一般的であって、adherentは信者の他に味方とか支持者、faithfulは忠実な信者って意味が多いらしく。さて、ファンはfanaticから来てるわけですけど、fanaticは狂信者という意味があり、オンライン辞書でも「他人の意見や批判を聞く余裕がないほど一途に信じる人。」とあります。アンチが使う「信者」の文脈に一致するのはどちらかというとfanaticを由来に持つファンの方では??ますます「信者」という言葉を使う意味がわからなくなってきました。たまにそのコンテンツが好きな人が「自分は○○のファンだけど信者ではないし……」とか言ってるのを見ますが、本来の意味合い的に程度の表現としては誤りなようですね。私もこれからは気をつけます。

作者にも失礼

 私は二次創作すらもあまりしないのでこの辺の領域は想像でしかないんですけど、作者にも失礼だと思うんですよね。自分の作品を好んでくれている人たちを侮蔑の意味を込めて信者と呼ばれるの、私なら嫌だなぁって思います。前述の実際の信者にも失礼であることも含めて嫌だなぁと。もちろん、アンチの方々はその作品自体も嫌いだと思うのでそれを含めた嫌がらせとして使ってるんでしょうけど。自分のコンテンツを好んでくれる人達を侮蔑の意味を込めた総称で呼ばれること自体、私なら無理です。
あと、そもそも、作者って公開しているだけに過ぎなくて、そこにどういった人達が好きになってくれるかというのはコントロールできないじゃないですか。作者がオタク達にできるのはあくまで「狙った層のフェチに刺さる作品を提供すること」であって、それ以上のことはできません。また、二次創作(感想含め)というオタクの交流がコンテンツの存続に関わる以上、作者が深く何かに言及することってなかなかできないと思います。ミュージシャンやモデル、画家と違って注意するのに細心の注意を払わなくてはいけない状況です。そんななかで、「あの作者の信者は〜」と言われたら、私は怒り狂います。
 

本当に意地でもどうしても「信者」って言葉じゃなきゃいけないの?

 これは「信者」に限らず、LGBTQをネタとして楽しむ(この時点で失礼だけど)ときに「ホモ」と使う人々にも言えますが、本当にその言葉じゃないといけないんですか?その言葉じゃないと死んじゃうんですか?「それが広く広まってるから」という理由で実際にいる人々を侮蔑する言葉を使っていいんでしょうか?「本来のニュアンスでは癖を意味する性癖という言葉がフェチを表現する言葉として誤用されている」というような問題と質は大きく違います。そこに人がいるということはもっと考えないといけないと思います。

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