なつやすみ

子どものとき、多分小学校の5年生頃、小説家になることを考えたことがある。ほんの一瞬のことだったような気がする。瞬間的に、あ、小説家になってみたい、と思って、また次の瞬間には、何か別のことを考えていた。そのくらいのことだったような気がする。実際には、よく覚えていない。当時住んでいたアパートにいたのか、それとも学校にいたのか、どこで何をしている時の記憶なのかもあいまいで思い出せない。記憶と呼べるほど立派なものでもない気がする。何かのちょっとした刺激と言うのか、電気信号が頭の中を駆け巡る、そのうちの一つに小説家になるという付箋が貼りついていて、僕はそれを横目でちらっと見ただけなような気がする。

表現が錯綜している。今が、朝だからかもしれない。朝と言ってももう9時5分前だから、きっと世の中の人はぼちぼち働くような時間なんだろう。

今日は、就職活動のことをやってからバイトに行くつもりだった。自宅で受ける学力試験があって、それをこなすつもりだった。しかし、電卓を持っていなかったので、夕方に受けることにした。100均で買おう。どうせいつでもパソコンを開けば勝手に受けられる試験だから。電卓をどのくらい使うのかわからないけど、まあ用意があるに越したことはない。

時間が空いたので何か書くことにした。本当は詩でも作るといいのだけど、今はそういう気分でもない。就活の真っただ中で、気持ちが落ち着かない。あれもこれもやらなきゃと思うし、何もかもやめたいとも思う。どうしたいのか、よくわからない。

部屋の中が、蒸し暑くなってきた。外はゆるやかに風が吹いていて、それほど気温は高くない。7月も後半になり、子どもたちもきっとそろそろ夏休みになるんだろう。

外で大人たちが盆踊りに興じている。子どもも何人か来ている。子どもが乗る自転車が止まっているのが見える。やぐらの上に、浴衣を着たおじさんがいて、その人がマイクで音頭を取っている。ぐるぐる何曲もかけて、おじさんが何かの合図を出し、それに合わせて大人たちが踊っている。町内に音楽が響く。マツケンサンバが流れたかと思ったら、氷川きよしのズンドコ節が流れる。僕はその人たちの姿を部屋の中から眺めている。花火がしたい。