また髪の話してる

最近は仕事も慣れてきて同僚と歓談する機会も増えてきた。無意味に息を吐き出す瞬間は大事にしていきたい。内容は些細なもので風通しの悪さから温室と化している店内が夏には灼熱地獄へと変わることへの恐怖。断続的過ぎる客足が増えることの期待。内容がどうであれ未来について話し合うことができるのは今が平和なことの証拠でもあるので悪いことではない。

どういう流れからその話題に移ったのかあまり覚えていないが髪の毛の話になった。本当に当たり障りのない会話しかしていないな。
私の髪の毛は大変厄介で極太麺のように厚さがあるにも関わらず猫毛のような柔らかさも持ち合わせている。湿気が強い日は重力に逆らってとにかく上を目指そうと髪の毛が逆立っていく。そして毛量も多い。一人暮らしの若者が調子に乗って茹ですぎたパスタぐらいある。多くの理容師と美容師を泣かせてきた特異な髪質は三十路になっても衰えることを知らず、毎朝髪の毛のセットに手間取りまくっている。

だったら坊主にでもすればいいじゃないか、と指摘する方はここにはいないでしょう。それは問題の解決ではなくて放棄だから。

というようなことをメモ程度に書いていたらなんだか散髪をしたくなって衝動的に美容室へ行く。最後に散髪したのが3月なので衝動的とは言ったがタイミングはいい。いつも行く美容室はパーマがとにかく上手い。技術的なことはなにもわからないのでパーマが上手とはなんなのか説明ができないが、完成形に限りなく近い形でパーマをしてくれるので私はパーマが上手だと思っている。なんかこいつ面倒だな……。

夏に備えてガッツリ短くする&パーマで髪の毛をコントロールしてやるという思いがあったので、有り余る語彙力を持って完成形を伝える。この厄介な髪型のおかげで美容室や理容室で理想の髪型を伝えるのが異常に上手くなった。【苦手なことほど上手くなりやすい】の実績をこれで解除するのはなんだか釈然としない。

しかし、伝えるのが上手かろうが聞き手がそれを忠実に反映するとは限らない。いつもは髪の毛を遊べるぐらい残して切ってもらっているのでその辺りで行き違いが発生したのか、伝えた通りの髪型にはならなかったけどダンジョン飯のカブルーくんみたいだし悪くはないな……、となった。

寿命が伸びます