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タッピングホールの付け方(1)

ふだん何気なく見ているアルミサッシなどのアルミ押出材のうち、一番不可解(?)に見える「タッピングホール」について解説する。


ここで使用している枠材は、各サッシーメーカーからDLしたものを加工している。一応使用条件を確認し、商用もしくはデータそのものを譲渡・公開しなければ大丈夫だと認識しているが、メーカー自体から指摘を受けた場合は即時対応するので、ご了承いただきたい(メーカーと無関係の場合はこの限りでない)。


タッピングホールの基本のキ

タッピングホールとは

タッピングホールとは、枠同士を緊結するタッピングビスを打つためのガイドとして機能する、枠材の形状のことである。

各社のタッピングホール形状

実は、タッピングホールだけでも各社が特許を取っており、勝手に変更すると、鬼のように怒られる。詳細は言えないが、例えばM5タッピングでつかう形状をそのままM4の形状(径を小さくした)にしたら、他社の特許に抵触するからNGと言われたことがあった。アルミ押出形材を起こすときに、実は最も注意すべき点の一つである。
つまり、あるサッシメーカーから形材をダウンロードして、タッピングホールだけ流用し、他の押出メーカーに押してもらおうもんなら大変なことになる。おそらく、押出メーカーはそのあたりはさすがにわきまえていると思うが、注意願いたい。


タッピングホールのエンジニアリング(ほぼ余談)

ところで、どういう理由でホール形状の特許を取っているかというと、主にタッピングビスの取り付けやすさ(さらに言うならスピード)である。
実は住宅サッシ・ビルサッシともに、いわゆる基幹商品は、ほとんどの場合秒単位で製作時間がきっちり決められている。基幹商品の枠形材は常時フル稼働で押出まくっており、それをカットしてサッシに仕立てるわけだが、いかにコストを圧縮させるかが会社の命運を左右している。基幹商品はそれだけ他の商品ウエイトを圧倒しており、製作時間が1秒単位で異なるだけで、長期的な利益が大きく変わっていくからだ。
よって、組み立てのタッピングが打ちにくかったら、それだけ時間を食う。するっと入るのがベターなわけだ。一方で当然緩んだり、抜けたりしたら話にならないわけで、そのせめぎあいが特許の根幹になっている。
なぜ、こんな「つけ方」という意味ではあんまり関係なさそうなことをぐだぐだ説明するかというと、実は思いっきり関係あるからだ。「数」である。

タッピングの数が多いと、それだけで製作コストが上がるのである。

組み立てユニット数十本のレベルなら大した問題じゃないが、例えば超高層ビルの全面に使うとなると話が違ってくる。タッピングの数が数千に及ぶこともある。建物をルーバーで全面覆う、とかもバカにならない。
「タッピングホールはいかに減らすか」は、実はエンジニアリングとして、重要なイシューである。


タッピングホールの優先順位

タッピングホールの付け方には当然優先順位があって、原則はそれに従いつつフィードバックを繰り返しながら作り上げる。

  • せん断強度

  • 回転にたいする抵抗

  • シーラーとの関係

  • 押出による不具合を起こさないための制限

予定は未定だが、いちおう上記の順番に沿ってこれから説明していきたい。
(続く)




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