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夜人間

 夜人間どもがやって来て、街頭でスピーチを始めた。
「光に騙されてはいけない。」
 けれども、誰も足を止めて奴らの話に耳を傾けようとはしなかった。
「光はまやかしだ。光はあなた方を幻惑し、真実から目を眩ませるための陰謀なのだ。」
 夜人間どもが叫べば叫ぶほど、人々は奴らから距離を取り、避けるようにして歩いた。
「なにあれ気持ち悪い。」
 母親たちは目をひそめて噂した。
「頭おかしいんじゃないの。」
 父親たちは薄ら笑いを浮かべ無視した。
「夜空を見上げてみて欲しい。光は無限の闇に浮かんだチリに過ぎない。それが真の世界の姿なのだ。近すぎる太陽が、その真実を我々から覆い隠しているのだ。闇に包まれた世界こそ、この世界の本当の姿なのだ。」
 夜人間どもを、まるで存在していないかのような態度で無視する大人たちに連れられた子供たちは「そうかもしれない。」と思った。

 (この作品中にいわゆるヘイトスピーチを連想させる表現がありますが、著者にはそのような行為を肯定する意図はありません。)

2019年10月ssg投稿(一部修正)

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