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大福は饅頭ではない
前の旦那との会話を思い出していた。
元夫「大福を饅頭として呼ぶことってある?」
私「ない」
…何の切り出しか。
「え?見た目がほとんど同じなのに?」
「大福はほぼ餅。饅頭はほぼ蒸しパン。饅頭の中身は餡子とは限らない」
「それだったら苺大福だって中身は餡子に限られていないし、ホイップが入ったスイーツっぽい大福も餡子じゃないやつあるよね」
ホイップが入ってなくても大福は始めからスイーツだ。…何が言いたいのか。
「誤認の線はどう?例えばテーブルの上に置かれた大福に対して『あの”饅頭”を食べてもいいよ』ってことにはならない?」
「ならない。」
「無頓着な性格の線は?和菓子イコール饅頭みたいな性格で」
…何だろう、推理小説にでも挑んでいるのか。
その後もいろいろ調べてきては、
・水饅頭は蒸しパンではない。
・最中は饅頭だ。
などと難癖を付けてきた。更には歴史をも語ってきた。
・饅頭は鎌倉時代に中国から。
・大福は江戸時代。
大福の饅頭起源説の主張だったらしいが、最早返事のしかたが分からない。…餅も麺も”ご飯”みたいな類の理屈だったのだろうか。
結局、元夫が何故”そのようなこと”を聞いてきたのかは不明のままだ。しかし、今思えばたった一言「そうですね」と返せば良かったのかもしれない。
先日、映画を見てきた。
アニメの映画で結構面白かったのだけど、それよりも最近はすごいもので映画を鑑賞しながら別途アプリとイヤホンで「解説(=オーディオコメンタリー)」が聞けてしまうのだ。映画監督と出演者2名の計3名による解説だった。
映画では「饅頭」を食べるシーンがあった。
そのシーンではなんと3名とも「大福」の話題で盛り上がっていた。饅頭から大福の話に切り替わる様子が実に自然で完璧だった。私は一瞬であの日のことを思い出して笑ってしまった。いやはや。
4人の前でだったら私は完全に打ち負かされていた。
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