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息子と干し柿

今日の給食に柿が出たそうな。

息子「牡蠣、おいしかったなぁ~♪」

母「柿 ね」

息子「あ、そうそれ!柿!」

母「デザートは柿かぁ。いいね、今季初だね。そんなにおいしかったんだ?」

息子「おいしかったよ~!柿でも干し柿はさ、干して甘くなるやつだよね?」

母「そうだね」 

息子「干し柿もおいしいんだよね~~♪」


・・・はて。お前さんはいつ干し柿を食べた(・・? そんな記憶は私にはないなぁと思っていると・・・


息子「ん?ぼくって干し柿食べたことあるっけ?」

母「って 知らんわ!!」

息子「あははははー♪ないよね?食べてみたいなぁ」

母「おばあちゃんは好きよ 干し柿」

息子「おばあちゃんが好きな味なんだね~。じゃぁぼくには合わないかもしれないね(笑)」


ボケてるのか天然なのか。はたまた超テキトーなのか。小学5年の11歳男子が、ふざけて母と会話してるようにも見えます。

が、ここに「息子には自閉症スペクトラムという特性がある」ということを付け加えると、そうではないことが分かってきます。そう、息子はいたって普通に会話しているだけ。

特性が分かるところは2か所あります。同じようなお子さんがいる方にはピンとくるかもしれません。


1つはそう、発音です。

柿を「牡蠣」というイントネーションで話すクセが息子にはあるのですが、柿の漢字を覚えた時に、間違ったイントネーションで覚えてしまったために、なかなか間違いのループから抜け出せないのです。

発音に限らず、初めて覚えたり体験したりするとき、最初に教わった方法を良しとしてインプットし、その後の修正が難しいという特性。頑固と受け取られることもあるかもしれませんし、何回言っても分からないヤツだ、と呆れられるかもしれませんが、本人はいたって超真面目に間違えているのです。


もう1つは「干し柿もおいしいんだよね~♪」です。

なぜ食べたこともないのに分かる?て思いますよね。本人も、いや僕食べてないし!と言ってますけど、ボケるために言ったのではないんです。

どこかで「干し柿はおいしいのよね~♪」と聞いたことがあるのでしょう。記憶力はとても良いので(良いこと悪いこともほぼ覚えています)、干し柿といえば「おいしいのよね~♪」という表現になるものなんだと、息子の頭に組み込まれてしまった可能性大。

息子は、主語を自分にして表現を変えることが難しいのです。本来は食べたことがなければ、「干し柿っておいしいのかな~」とか、「干し柿って食べてみたいな~」などと言い直せますよね。

でも今回は、自分で言ったことに疑問が出て、食べたことないよね?と自覚できていたので、成長したなぁと思います。今までだったら「干し柿っておいしいんだよね~♪」で会話終了して、私から「いや食べたことないよね?」と聞き返していたと思います(;^_^


特性を知っているから気づくだけで、息子の特性を知らない人が聞くと、男子あるあるな会話だね~ で終わるのかな。言いたいことが伝わらないとか、誤解されて信用にかかわってくるとかでなければ、私もそれでいいと思っています。

中学生まであと1年半。違和感のない会話ができるよう、生うきづらさを少しでも緩くできるよう、会話力を鍛えたい。

息子本人は、何のこっちゃ?ですけど。


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