見出し画像

妊活日和#11

2019年7月。妊活開始11か月目。

人工授精1回目の治療開始。


生理が始まって5日以内に病院へ行き、採血の結果次第で今周期の治療が可能かどうか判断される。

採血から2時間後、自宅から電話で結果の確認。

「〇日からクロミッド、飲んでください。次回の診察は〇日です。」

どうやら、治療を開始できるらしい。よかった。



今回が通院して初めての薬の処方となった。

通常自然周期で排卵される卵胞は1個。それをクロミッドという薬で、複数の卵胞を育てて排卵を促す。複数の卵胞があることで、妊娠の確率を相対的に上げるのを目的としているらしい。私は5日分処方された。


翌週、卵胞がいくつ育っているか、大きさはどのくらいで排卵日はいつになるのかを確認するため受診。

「1つしか育っていませんね。」

薬への耐性があったのか、なんなのかは知らないが、今回は1個しか排卵しなさそうとのこと。そして2日後に人工授精の処置を行うことが決定した。


当日の流れはシンプルだった。

① 精子を自宅で採取

② 2時間以内に①を病院へ届けて、洗浄・精製してもらう。(約2時間)

③ 処置室で人工授精処置


処置室へ行くと、夫の精子(マイクロジュニアと呼んでいる)が画面に映し出されていた。処置に当たる先生は、いつも診察してくれている先生ではなく、40代くらいのサバサバした感じの女性の先生だった。

画面のマイクロジュニアを見て一言。

「グチャグチャっといるから、精子は問題なさそうですね。」


マイクロジュニアの扱いが、雑だった。

このグチャグチャ発言のおかげで、私の緊張もだいぶほぐれて、痛みを感じることもなく、サクッと処置を済ませることができた。


先生のおかげである。



その後、新たにデュファストンという薬を14日分処方された。

デュファストンは黄体ホルモンを補う薬で、子宮内膜を厚くし、着床の手助けをする目的で使用される。



1回目の人工授精治療後に、なぜか心がウキウキしたのを覚えている。


その時は理由は分からなかったが、今冷静に振り返ると、分かる気がする。

それは、11か月間ずっと、タイミング法しか成す術がなかったが、新しい方法に挑戦しているということで、やっと希望が見えてきたような気がしたから。また、タイミング法と違って、通院回数が増えたり、薬を飲んだりしてお金と時間と労力をかけて治療に主体性が出てきた分、期待も大きかったからだと思う。


そして、2週間後、その気持ちが、崖から突き落とされたような気持ちへと変化する。


期待が大きかった分、精神的に辛かったのだと思う。


ちょうどその頃、4月に妊娠を報告していた同僚がそろそろ産休に入る予定だったが人員が補充されなかったため、負担する業務量が若干増えてきた。またさらに、私自身も新しい業務を任され、業務を覚えることで必死の毎日を送っていた。

そんな中、産休に入る同僚へのプレゼントや花束を用意する担当になったり、慣れない業務で残業が続いたことが、さらに精神的な負担にもなっていたんだと思う。


いつもはリセットしても、10分くらい泣けば復活する私が、1日中泣いても気持ちが晴れてくれなかった。万が一、生理が始まってしまったら、5日以内にまた来るように言われていたが、その気力すら失っていた。



悩んだ末、こんな気持ちでは前に進めないと思い、しばらく病院へ通うのを自己中断することにした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?