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不動産の個人間売買プラットフォームは成立するのか

個人間売買は、メルカリなどによる市場認知により合理性が証明されています。また、バイクや自動車までもが個人間売買が行われるようになり、不動産の個人間売買も必ず誰かが達成する不可逆なトレンドといえます。

では、不動産の個人間売買プラットフォームを実現するための要素はなにか?

国土交通省調べの「中古住宅を購入する上での重要度」では、品質の不安、価格の重要性、情報の不足が意思決定の重要なポイントとなっており、現在の中古住宅取引で「負」と感じている情報の非対称性を解消することはもちろん、「圧倒的な安心」が必要となるため、ひとつの要素をクリアするだけでは実現しないというのが結論です。

< KSF >
 1. 建物・設備の信頼性を公開する
 2. 価格の正当性を評価する
 3. 契約の簡便性を担保する
 4. 柔軟な取引形態に対応する
 5. Two-Sided Platformの「卵鶏問題」をクリアする

1. 建物・設備の信頼性を公開する

現在の中古住宅売買は、「情報の非対称性」が大きく、安心材料が少ないと考えています。中古住宅売買は現状渡しがほとんどなので、車業界で例えると「車検を受けたことがない車を買っている」というイメージで、高速道路でのブレーキの故障やエンジントラブルも否定できない状況といえます。住宅の場合は、購入後に雨漏りが見つかって売主に損害賠償を請求するなどのトラブル事例も多数あります。また、2020年4月の改正民法により、売却後の売主責任が拡大すると言われています。

改正民法の不動産業界での解釈は、「瑕疵」という言葉がなくなり「契約不適合」という言葉に変わるため、いわゆる「契約書がすべて」となり、売主側で売却時に家の状態を契約書に盛り込める状態にしておかなければ、売却後に賠償請求なども増加すると考えられます。これらを解決するためには、インスペクションが不可欠であり、かつアプリを使ってDX化させ、効率的に建物の信頼性を公開することが必要となります。

2. 価格の正当性を評価する

不動産の売り出し価格を決めるには、近隣の取引事例をもとに査定を行うことが一般的ですが、同じ物件でも不動産会社毎で査定額が異なります。中古車のように類似車種の比較対象が多く存在する場合は、価格差は小さくなってきますが、不動産については(特に戸建ては)、比較対象が存在しないため、より正確性を求めるには、取引事例を参考にするだけではなく、建物の偏差値やリフォーム履歴、今後の価格変動予測などを考慮した、売買時の意思決定に「納得できる価格設定」が必要となります。

3. 契約の簡便性を担保する

個人間売買を実現するには、取引の安全性を保証するエスクローエージェントが必要となります。売買契約から決済まで、売買主が安心して行える環境構築が必要です。近未来では、ブロックチェーン技術を用い、直接法務局に、安全に登記できる仕組みも実現されると考えています。

4. 柔軟な取引形態に対応する

人口動態や空き家増加の影響もあり、売却期間の長期化が進むことは避けられず、売却後の契約不適合リスクも考える売主は、買取会社への瑕疵責任免責でのスピード売却も増加すると考えられます。現在の不動産買取は、長期間仲介で買主を探して見つからない場合に行うことも多く、このようなケースでも、さまざまな買取会社に入札競争できる環境を構築し、買取でも高く売却できる仕組みが必要となります。

5. Two-Sided Platformの「卵鶏問題」をクリアする

どのカテゴリの個人間売買でも同じですが「個人間売買はじめます。売買主集まれ!」と意気込んでサイトをオープンしても必ず失敗します。売主、買主のどちらか、圧倒的な数を集める戦略を立て、かつ不動産の場合は、仲介と買取のユーザーニーズが異なるため、「Two-Sided」から「Multi-Sided Platform」への転換プロセスまで戦略を立てなければなりません。

まとめ

私たちNonBrokersは、市場の変局点を睨み、まずは「売主と買取会社」を直接マッチングするプラットフォーム「インスペ買取」を構築しており、参画してくれた買取会社様は、リリース4ヶ月で約500社、買取予算額2,000億円を超える日本最大級の不動産買取プラットフォームに成長しました。

不動産売買業界での「完全なる情報の透明化」「圧倒的な安心」を実現し、かつ手数料も役務対価型とすることで、個人間売買のインセンティブになると考えており、また、早く売りたい人は買取会社が高く買取り、急がず高く売りたい人は個人間流通を行う取引形態の多様化を実現することで売買プラットフォームとしての「Winner takes all.」を実現できると考えています。

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