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とにかく物書きになりたいあなたへ 業界紙記者のススメ


はじめに

 楽しい学生生活が終わりに近づき、否応なしに職業選択を迫られている―。そんな学生は多いのではないでしょうか。

 かく言う私もそういった学生の一人でした。大変失礼ながら、「事務職は退屈そう」「営業は大変そう」と考え、世間知らずながら食わず嫌いをしていました。(ちなみに、今では事務や営業の仕事に対して、社会を支える職業としてのリスペクトがあります)

 かと言って特別なスキルがあるわけでもありません。そんな時、就職サイトで職探しをしていると目に飛び込んできたのが「記者」の仕事でした。

 「物を書いてお金もらえるならいいな。楽しそうだし」と浅はかな考えから、片っ端から新聞社や出版社へエントリーシートを送りました。

 しかし、世間はそう甘くありません。エントリーシートが通っても、その後控える筆記試験になかなか通らないのです。

 筆記試験には政治・経済・社会・芸能などの時事問題に加え、一般教養の問題が出るのですが、私はそれまで新聞もロクに読まず、時事問題対策も一夜漬けでしかやってこなかったのです。

 少なくとも大手新聞社を志望する学生はしっかりと対策を講じ、高い志のもとで試験に臨みます。学歴も高いです。思い付きで記者を目指す私(中堅私大卒)なんかが、そんな学生に勝てるわけがありません。

 しかし、そんな私でも最終面接にこぎ着けることができた新聞社が2社ありました。一つは地方新聞社、そしてもう一つは業界紙の新聞社でした。

 地方新聞社はイマイチな面接をしてしまったので落ちましたが、業界新聞社の方は運よく受かり、晴れて新聞記者になることができました。

業界紙とは?

 ここで「業界紙」という言葉を初めて聞いた方もいるかと思います。業界紙とは「特定の業界に関する記事を掲載する新聞」のことで、「専門紙」と呼ぶこともあります。

 対義語は「一般紙」で、皆さまがコンビニなどで目にする朝日、読売、日経などは一般紙にあたります。

 じゃあ業界紙はどれかと言うと、例えを出すのは難しいです。というのも、業界紙は法人向けに発刊している新聞がほとんどで、コンビニや売店などで目にすることはほぼ無いからです。先ほどの業界紙の定義上、スポーツ紙も当てはまりそうですが、一般的にスポーツ紙は業界紙に含めません。

業界紙の有名どころ

 ただ、聞いたことが無いにせよ業界紙にどんなものがあるかを知らない限り、イメージしづらいと思いますので、有名どころの媒体名を紹介します。

 まず、業界紙の雄とも言えるのが「日刊工業新聞社」です。創刊から100年以上経つ老舗新聞社で、製造業を中心に幅広い経済ニュースを取り扱います。

 業容が幅広いのも特徴で、一般向けに専門的なニュースを分かりやすく伝えるウェブ媒体「ニュースイッチ」、展示会やセミナーなどリアルイベントを通じた情報発信も行っています。

 この他、各業界で圧倒的なシェアを誇る「化学工業日報社」「繊研新聞社」、日本新聞協会加盟社である「電波新聞社」「水産経済新聞社」「日本農業新聞」、地方一般紙の発刊も行っている「みなと山口合同新聞社」などが有名どころとして挙げられます。これら以外にも有名・有力な業界紙は数多く存在しますが、挙げだすと切りがありません。

業界新聞社への就職は、とにかく記者になりたい方にオススメ

 学生時代、特段ニュースや新聞記事に触れてこなかった私が業界紙記者になれたように、「とにかく記者になりたい!」と考える方にとって業界新聞社は比較的入りやすい企業と言えるでしょう。

 業界紙はネームバリューが低く、志望者数が一般紙に比べ少ないことが多いです。新卒の採用枠自体も少ないですが、有名大学の受験者が少ないゆえに競争は比較的激しくないでしょう。

 また、業界新聞社は中途採用での入社難易度が低いのもオススメポイントです。金融、製造、小売、医療などほぼすべての業界に複数の業界紙が存在します。そのため、一度どこか非マスコミ会社に入社した後に、「どうしても記者になる夢が諦めきれない!」と、入社した企業の業界を縄張りとする業界新聞社に転職する、といったケースは非常に多いです。

 新卒からでも、中途からでも入社しやすい―。この受け皿の広さこそ、業界新聞社最大の魅力と言えるでしょう。

働き方

 業界紙の働き方は会社によって千差万別ですが、私なりに大きく括ると「専業記者」か「営業記者」かに分かれるかと思います。肩書上は両方とも「記者」や「編集記者」となることが多いですが、その業務内容は大きく異なります。

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