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安い単価の仕事にも高品質を徹底するべきなのか

webライターの単価はピンからキリまでだ。
個人でwebライターを搾取する気満々の場合、1文字0.01円なんてこともある。

独断と偏見と個人的見解だが、クラウドソーシング経由ならば1文字1円以上が「真っ当な価格」という認識。
初心者は1文字0.5円。
それを下回るものは、クライアントの事情や人格は別として、「格安案件」と言える。

格安案件でも仕事なのだから、webライターは高品質を心がけるべきなのだろうか。
1つの仕事を全力で誠意を持って高い品質で納品し続ければ、果たしてそのクライアントから高単価の案件の紹介が来るのだろうか。

これも超個人的意見だが、答えは否である。

ぶっちゃけ、1文字0.5円未満でwebライターを雇おうとするクライアントは資金力がない。
あるいは、利益はほぼ自分だけが享受し、仕事を依頼しているwebライターのことなど考えていない。
「安ければ安いほどOK」という認識だ。

なぜそう思うのか。
長年クラウドワークスをやっており、平均単価が下落している図を見ているからである。
何度も例として挙げているが、シナリオが良い例だ。
出始めは1文字2円が今や1文字1円、それ以下もある。
この現象は「安くても高品質で納めるライターの存在」が起こしていると私は考える。
安くて良いもの、あるいは自分が満足できるそこそこのものがあるなら、あえてそこに高い金を払おうとはしない人が多いのだ。

とくにwebのような刹那的な場所では「一時的に稼げればいい」「一時的に雇えれば充分」と考えている人が多いだろう。
大手編集者が作る紙媒体の作品とは違い、とくに個人や小規模のアフィリエイト系ブログは「このライターと年単位で付き合い、一緒にサイトを盛り上げて利益を分配しよう」と考えるクライアントはいないだろう。
彼らは安ければ安いほど良いのだ。
それでいて、一定のレベルをwebライターに求める。
充分安く売られているものに対して「もっと品質を上げろ!でも価格は下げろ!」と訴えるクレーマーのような存在だ。

幸い、クラウドソーシングのお陰で、激安でそこそこの文章力があるwebライターは簡単に見つかる。
日本の教養平均レベルで充分なのだから、あとは何も知らない真面目で一生懸命な初心者を掴まえればいいだけ。
「初心者歓迎!」「丁寧に教えます!」と、「仕事を覚えられて、しかも報酬が貰えるお得案件」のフリをして募集するのだ。

こういった案件に応募する是非が問われている。
私は、初心者がこの手の案件に応募することは否定しない。
(ただ、暴言吐くようなクライアントは別。自分が偉いと勘違いした相手とは仕事するべきではない)
ただ、「ここで続けていれば、今のクライアントから高単価に綱がる」という期待は持たない方がいいと思っている。
最初に述べたが、激安単価のクライアントは、自分に資金力がない(刹那的な利益を自分だけのものにしたい)ケースがほとんどだからだ。

格安単価を受ける場合、インターシップを利用しているような感覚で「webライターの基礎知識を知る」と割り切ることをおすすめする。
もちろん、クライアントは厳選しなければならない。
マニュアルが丁寧で連絡がスムーズ、質問にも丁寧に応えてくれるクライアントを選ぶのが重要だ。

安くても親切で誠意的なクライアントはもちろんいる。
私も最初はそういうクライアントと仕事をさせてもらった。
しかし、そこに長くとどまり続けても、自分の利益にはならないと思った方が良い。
優しく律儀な人ほど「お世話になっているから」と、長期間低単価で仕事を請け続ける傾向がある。
結果、収入もwebライターとしての実績も停滞する。
それは非常にもったいない。

格安安価の仕事は「経験値として一定期間のみ受ける」という前提が良いだろう。
クライアントに申し訳なく思う必要はない。
クライアントもバカじゃない。
「この程度の単価では、優秀なwebライターと長期的な付き合いをするのは苦しいだろう」とわかっている。
わかった上で、資金的な問題で格安設定にし、その代わりに初心者にも丁寧に教えてギブアンドテイクの誠意を見せようとしているのだ。
自分が「一定のスキルに達した。もっと上を目指したい」と思うまで仕事をすれば、充分誠意は果たしている。
クライアントの要望を乗り越えて、低い単価のまま高品質の記事を納品し続けなくても良いのだ。

ツイッターでは「低単価でも丁寧に誠意を持って質の高い記事を納品することで、高単価の仕事が獲得できる」という意見もある。
しかし、ここで言う「低単価」は、「1文字1円」レベル。
0.5円以下が見えてない世界での話だ。
クラウドソーシングにあるマジもんの低単価ではない。
だから、初心者webライターは気をつけてほしい。
0.5円未満の仕事を長期的に受けていれば、そのクライアントが高単価の仕事をくれるという期待をかけてはいけない。

結局、単価を上げるのは自分次第。
自分の能力を客観的に評価し、「このスキルならばこのレベルの仕事が請けられる」と判断し、自分を売り込んで仕事を獲得する。
これがフリーランスの基本だ。

どこまで上を目指すかもまた人それぞれ。
偉そうなことを語っている私だけど、1文字1円台の仕事を主としている。
1文字3円以上の人からみたら「低単価で書き続けるwebライター」であろう。
それでも私がそこに留まるのは、その立ち位置が私にとって一番仕事がやりやすいからである。
やはり、高みに上るには日々の努力が必要だ。
私は日々の努力をせず、現状の私で選べる仕事の中から、時給換算で「外で働くよりメリットが多い」という働き方を選んでいる。

おっと、随分と話が脱線してしまった。
私は元アニメーター(委託)で、その後は派遣社員として長らく働いていた。
思えば雇われ人の経験がほぼなく、フリーに近い状況でずっと働いてきた。
だからこそ思う。

「報酬なりの働きで充分」と。

例えば、派遣社員時代、正社員の尻拭いを何度もしてきた。
彼らは私よりもずっと高い年収でボーナスも出るのに、なぜ私がここまでしなければならんのだと思い、オーバースキルにならないよう適度に調整し、契約以上のことを求められたら、派遣営業を通してサラッと断ってきた。
「ちゃんとやれば正社員のお誘いが来るのでは?」と言う人もいるだろう。
実際、派遣営業を通してサラッと断った会社(一部上場)から正社員のお声がけをいただいたことがある(断った)。
結局、全力でやるかどうかじゃなくって、自分を高く見せられるかどうかが重要なのだと思う。
あと「誰に高く見せるか」も重要。

webライティングの世界は割と広い。
クライアントはピンからキリまで。
これを一緒くたにして「プロならば!高品質の仕事をするべきだ!」と言うのは、やはり違うだろう。
その心がけは立派だが、安いクライアントには安い仕上がりで充分だ。
安い案件に高品質の記事を上げていたら、生活できなくなってしまう。
webライターはボランティアじゃない。

だから、あなたも自分で見極めてほしい。
今受けている仕事を今後どうするべきなのか。
初心者ほど「クライアントに選んでいただいた」と謙虚だが、フリーランスは「私が仕事を選ぶ!」という思考がなければ使い倒されて終わるぞ。

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