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左と右と手前と奥【夫婦のこと】

私の妻はパンが好きだ。
毎週金曜日には行きつけのパン屋さんで週末用の食パンを買ってくる。
平日はイオンで超熟。先週は早くに超熟が無くなってしまい、木曜日に一日早くパン屋の食パンを買ってきた。

土曜の朝、歯磨きを済ませて洗面所から戻る途中、廊下にある棚の上にパン屋の食パンが二つ並んでいることに気がついた。今は廊下が涼しいのでパンの保管場所にしている。

「金曜日にもパン屋さんに行ってきたの?」
リビングに戻っての第一声、私は妻に尋ねた。

「うん、なんとなく習慣で。だから食べる時は手前のパン、いや、左のパンから食べて・・・」
とっさに言い直した妻を見て、瞬時のことでしたが ”私のことを解ってくれてる人だ" と嬉しく思った。

正直、私は細かい。
リビングで話した妻が「手前」と言えば「左」に置いてある食パンだということは見当が付く。でも、私は反対側の洗面所から戻ってきた直後。私にとっての「手前」は「右」と思ってしまう可能性がある。こういう曖昧な表現を私は嫌ってしまう。八割方の人が間違えないだろうという表現でも、より誰しもが誤解をしない表現があればそれを使って欲しい。報告ごとならば特に。今回でいえば「左右」で伝えた方が100%間違えない。そういう私の性格を知っている妻なので、とっさに言い直してくれたのです。そういう私への理解度が嬉しい。

ただ、その後に続いた台詞が実に妻らしい…
「だから食べる時は手前のパン、いや、左のパンから食べてね!奥にあるパンが金曜日に買ったパンで、手前のが木曜日のパンだから。」

せっかく「左」と言い直したのに、それで伝わったと判断したらすぐに「手前」と「奥」に表現を戻してくる。私としたら「左」と言い直した以上、この会話に限っては「左右」で表現を統一してもらいたいのですが、妻はそんなことは気にならない。一旦、誤解のないように言い直したのだから、後は解るでしょうというタイプ。ならば自分の言い易い表現にすぐさま戻しては気分良く話して細かいことは全く気にしません。

おかげで私の細かさも、左程、妻には気にならないようです…

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