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クッキーで再確認【夫婦のこと】

昨年の12月、妻がクッキーを貰ってきました。
知識もなく言いますが北欧っぽい模様の洒落た缶カンに入ったクッキー。
目を引く模様なので開けようとしたら「お正月まで待って。」と妻に止められた。妻もその模様に惹かれて大事に食べたいようです。仕方なく我慢して、お正月になってから初めて口にしたのですが…

なんか美味しくない。
外国っぽくて馴染みのない味。食感もザラザラしていて口に馴染まない。
二個ほど食べたところで手を止めました。楽しみにしていた分、思いのほかショックが大きい。逆にクッキー自体は小さい。缶カンの中にドロップの如く沢山入っているので、これでは減らないかもと心配になりました。

ほどなくして妻も食べ始める。
意外にも黙々と食べている。普段の味覚は合う方ですが、このクッキーに関しては好みが違ったのかな。でも減るならいいかと眺めていました。不味い訳ではないので私も少しずつは食べていこう、そうすれば湿る前には食べ切れるだろうと思っていたのですが…

私は在宅なので日中家に居ます。小腹も空けば口寂しいこともある。なので時々は缶カンを開けてみましたがやっぱり手が進まない。1個2個で蓋を閉めてしまう。そのうちに開けもしなくなったのでクッキーが減りません。妻も帰宅しては時より缶カンを開けてました。そして黙々と口に運ぶ。クッキーと共に私の食べてない罪悪感も少しは減っていく。妻だけでも口に合うクッキーで良かったと思う、あとは妻に任せよう。

昨日は休日なので二人でコーヒーを飲みました。
おもむろに缶カンを開けだして頬張る妻。そして急に真顔で私を見る。

「クッキー食べる?」
「えっ、いや、うん、あんまり食べたい気分じゃないかな。」
「えー、食べてよ。これ美味しくないから。」
「えぇー、美味しくないの?いつも食べてたじゃん。」
「そうよ。だから早く無くしたくって頑張ってたんだけど、全然減らないんだもん。なんか無心で食べないと変な味だしザラザラしてるでしょ?あと少しなんだから一緒に手伝ってよ。」

クッキーの残り数に反比例して妻に任せ続けていた罪悪感が増す。こうなれば今からでも罪滅ぼしだと一緒になって食べる。3個4個と私にとっての新記録を妻と共に無心で食べる。そしてようやく空になる缶カン。

味覚が一緒で苦労するなんてあるんですね…
でもまぁ悪い気分ばかりでもないです。

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