起こしてなじられ、ホッとする【日々のこと】

今朝、妻の目覚ましの音を聞きながら漠然とした夢を見ていました。その後、あまりの静けさに嫌な予感がしてガバッと起きる。時間を確認すると7時過ぎ。これはダメだと妻に声を掛けました。

「起きてー。もう7時超えてるよー。」

妻の寝過ごしは割とよくある。いつもならば、これで妻もガバッと起きて、足が攣るんじゃないかと心配になるほどバタバタと動き回ります。なのに今朝は妙に穏やか。静かに目を開いては私に聞き返してきた。

「どこかに行くの?」
「えっ・・・」

予想外のことに私も不安になる。私だって寝起きです、頭が回っていない。妻は私を見つめているような、遠くを見ているような。目は開いているのに何も見ていないようにも見えます。エアポケットにでも落ちたような変な気持ちになりながらも答えるしかありません。

「会社…」

妻は変わらない。静かなままで穏やかなまま、判らない眼差しをしたままです。何?死んだの?どちらかが?二人とも?怖い怖い怖い怖い怖い怖い…
私が覗き込んでいると妻の瞳が少しだけ揺れて、ようやく声を出してくれました。

「今日、土曜日でしょ。」

確かに。土日であれば妻のこの顔にも見覚えがあります。今朝の妻は寝過ごしただけでなく凄まじく寝惚けてもいるらしい。ホッとして強めに答える。

「今日、金曜!」
「えっ・・・ええぇぇぇぇぇぇー」

この後はいつも通りです、よく見る風景。いつもと違うのは「休みだと思ってたから、行きたくない!」と何度も嘆いているところ。「もっと早く起こしてよー」となじられる。妻の言い分では土曜だと誤解していた時間が短かければショックが薄くて済んだそうです。さすがに私も妻の寝惚け事情までは把握していません。軽く聞き流しては、普段の日常が戻ったことに胸を撫でおろしていました。

夕方には買い物に出掛けます。
今晩は疲れ切って帰ってくるだろうから、甘いものでも買っておこうかな。そして明日こそ死ぬほど眠ればいいと思います、私は起こしません。



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