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出番待ち【日々のこと】

今年に入ってからレースのカーテンが一斉に破れだす。新調してから数年、寿命のようです。買い換えを相談するとミシンが趣味の妻が出番とばかりに作ると言い出した。ということで先日、布屋さんへ行きます。

カーテンは妻好みでいいし布専門店では私の見る物がない。留守番したいところでしたがダメらしい気配が妻から漂う。仕方なく付いて行って解りましたが布の買い方は独特なんですね。欲しい分だけ断ってもらうのでレジには布を巻いた重いロールを持って行かなければならない。このロールの引き抜きと運搬が私の出番ということで留守番は許されなかったようです。

ロールを裁断台に置いたらお役御免と先で待っているよう妻に言い渡されました。レジの込みようは結構なもので裁縫好きの多さに圧倒されつつ待つことしばらく、レジ横の裁断場で何やらトラブルの声がします。更に待つのかと声の方へ目を向けたらトラブっていたのは、まさかの妻でした。ケンカではないです。後の話によるとカーテン生地を16m欲しかった妻。なのに12mくらいの所でキズが見つかったらしく、そのキズを避けるために二枚に分けますと言うのが店員さんですが、作る内容が判らないので何mと何mに分けましょうと尋ねられていたと言う。

大小サイズ違いのカーテンを複数作るつもりの妻。まとめて購入のつもりが急に分けろと言われると戸惑う。しかも生真面目な性格が出て店側のロスが少ない配分まで考えては答えを出しあぐねていたらしい。聞こえるやり取りから離れていた私にもおおよその察しがつきましたが、助けようもなく出番ではなさそう。「どうしたの?」なんて気取って出て行けば生真面目な妻は状況を説明しようとして、それこそトラブルが長引く。裁断の計算は単純計算とはいかないので裁縫無知の私では役に立ちません。ここは申し訳ないが妻の立ち回りを脇から見るだけで、その後の出番に備えました。

ようやく答えが出たようで店員のハサミが動く。妻は確認の検算をしている顔でレジへと向かっています。私も出番が近いことを感じつつレジへと近づき精算を終えた妻に「大丈夫?」と声を掛ける。「聞いてよー、それがさー・・・」と妻が勢いよく話し始めて、左耳で妻の声、右手で合算16mの生地の入った大袋を掴みます。フンフンと重いカーテンを持ち替えながら、ふんふんと先ほどのやり取りを聞いて、奮闘を労いながら二人して歩く。

カーテン作りに私の出番はありませんが、妻の奮闘はこれからも続きますので両耳の出番待ちはまだまだ続きそうです。

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