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扇風機を止めて、つけただけの話【日々のこと】

扇風機がずっと回っている。
よく考えたら、ずっとだ。

エアコンは節約もあって、ちょいちょい切ってる。
エアコンを切ってる時は、扇風機が頼みなので回ってる。
エアコンをつけている時も、サーキュレーターの代わりで回ってる。

寝ている時も、風が欲しいので回ってる。
私が在宅になってからは、昼間も休めず回ってる。
もう何日休まずに回り続けているのだろう。
切るタイミングが無くて回し続けていた。

今、我が家の一番の働き者は、扇風機なのかもしれない。
「文句も言わず、ずっと働き続けて、しんどかっただろうに…」
労いの気持ちが、思わず独り言になる。
作業を続けながらも、静かに首を振る謙虚な扇風機。
大きく100° 、ゆっくりと何度も。

そっと手を当てたら、頭の部分が少し熱い。
”暑い中、わが身も顧みずのぼせるまで働いて、なんて健気なんだ”

気づいてあげられなかったことを反省して、
敬うように腰を折ってスイッチを切った。
”少し休んでもらいたい”

扇風機を止めると、やっぱり暑い。
でも、熱くなったモーターも、すぐには冷えない。
”扇風機を休める間くらい、私が我慢しなくてどうする”

代わりに冷たいものでも飲もうとキッチンへ。
おもむろに冷蔵庫を開けて気づく。
”そういや、おまえも居たなぁ”

当たり前だが、冷蔵庫は休まない。
暑くても寒くても、朝も昼も夜も、ずっと働き詰め。
私たちが在宅か留守かなんて関係すらない!
扉が閉まっていると、つい働いていることを忘れがちな冷蔵庫。
ウーンと唸って働くのやつには、うるさいとすら思っていた。
新調してから唸らないので、それからずっと休んでいなかったことに、
今になって気づく。
”冷蔵庫がダントツ一番の働き者だ”

冷たいものを飲んだら、少し汗ばんできた。
やっぱり暑い。
部屋でボケーと横を向いて休んでいる白いやつを見つける。
”何をボーっと休んでいるんだ、働き者ヅラしやがって”

手荒に扇風機を呼び寄せて、スイッチを足で踏みつける。
イヤイヤ、と首を振りやがるので、
頭の出っ張りをつまみあげて、首が振れないように固定してやる。
”たかだか2、3日で。冷蔵庫の謙虚さを見習いやがれ”

今、扇風機は直立不動でブンブン唸りながら、
私だけを向いてアピールするように働いている。

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