NHK 「おんがくこうろん」 をみて
学生時代のレイ・ハラカミ
1989年(平成元年)に入学した短大の映像学科でハラカミくんに出会いました。
デビュー後の彼についてはよく知らないので、ここではデビュー前のことを同級生視点で綴ってみたいと思います。
学校では写真やビデオ(VHS)、8mmフィルム、パフォーマンス、造形、アニメーションなどの授業を幅広く受けていましたが、自分の映像作品に音を付けることになったとき、私には音楽的素養がなかったので、母が遊んでいたCASIOのSK-1を実家から持ち出し、サンプリング機能を使って試行錯誤しながら音楽(的なもの)を作っていました。
手元にある弦楽器や民族楽器などを「ポロロン」と鳴らし、音をサンプリングすれば、キーを押さえているあいだ5秒くらいループします。1つのループが途切れる前に次のループをつなげていき、2つ3つキーを同時に押さえるとテンポの違うループの重なりがズレて音がぶつかった時に自然とリズムがうまれるので、そこにシンプルなメロディを乗せるというやり方で4年間制作していました。
私の音作りを横で見ていたハラカミくんが「すげぇ……」と言ったのは修了制作(4年目)の時でした。もっと早く言ってほしかったぜ。
(在学3年目にはEZ-Visionを使って打ち込みに移行してましたので、もしかしたら褒め言葉じゃなく「4年間これで通したのすげぇ」の可能性もあるな、といま思ったところです)
広い世界 と せまい世界
当時、ハラカミくんが他の映像作品のために作った曲をカセットテープにダビングして手売りしたものが、1年ほど前に「広い世界 と せまい世界」としてringsからリイシューされましたのでYouTubeやSpotifyなどでも聴くことが出来ます。(嬉しいね!)
rei harakami / 広い世界 と せまい世界 デビュー前に4トラック・カセットMTR等で宅録して発表された、幻のカセットテープ音源『広い世界』と『せまい世界』が、リマスタリングされ貴重なアーカイヴ音源として改めて世に放たれる!! http://www.ringstokyo.com/rei-harakami-hiroisekaisemaisekai
リズムの錯覚
話がズレましたが、先日の「おんがくこうろん」でゾンビ解説員の「リズムの錯覚」という言葉を聞いて思い出したことをここまで書いてみました。
以前ポリリズムの解説動画をみたときは、音楽制作について素人なので曲のフワッとした部分が解明されてることに只々感心するばかりでしたが、今回の「おんがくこうろん」の解説によって、今まで感覚的に理解していたことを言語化することができました。
レイ・ハラカミはリズムの錯覚を意図的に作っていたんですね。
逆に、スピードの違うループを重ねる直感的なやり方でアナログ時代のハラカミサウンドが再現できるかもしれません。
あと未公開トークで星野さんの「EZ Visionが音をチョップするのに向いてなかったからかも…」という核心をついた言葉も衝撃でした。(笑)
そして「若くして亡くなったこともありシリアスに語ってしまいがちですが、ご本人の面白さをもっと前面に出して広く彼の音楽を届けていきたい。」というお話と「ワームホール」のお話がとても心に残っています。
機会があればアルバム「広い世界」についても書いてみたいと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
おいしい珈琲をいれてさしあげたい