男遊びをやめろ、献血に行け。

大学生のとき、男遊びに明け暮れていた。
マッチングアプリで知り合って、夜飲みに出かけて、そういう雰囲気になればホテルに向かう。
ロクに物が入らない小さいカバンに、替えのコンタクトだけ忍ばせて。

普通にキモい勘違い女なのだが、当時は辞められなかった。
承認欲求や自己肯定感の低さをこじらせた結果だと、今にして思う。

男は行為するだけであれば、若さ以外のスペックをあまり問わない。
だから、不細工な私でもそれなりに顔が良く、それなりに収入があり、それなりに話が上手な男性と行為に至ることができた。
行為目的の男性は、大体飲みの段階から億面もなく褒めてくれるし、行為中も盛り上がって「好き」だの「可愛い」だの言える。
この「第三者から認められている」快感がクセになっていた。
私は人に誇れる容姿ではなく、幼少期から家族からブス扱いされていた。
大学に入ったら女友達は可愛いと褒めてくれるようになったが、女の可愛いほど信用できないものはない。条件反射的に出てくる鳴き声と同じなのである。
身体目的だと分かっていても、それなりにいい男からの称賛は気分が良く、大学生活の多くをマッチングアプリに費やすことになってしまった。


話は全く変わるが、私は献血が好きだ。
医者や消防士でない私が、直接的に人の命を救えるだなんて、なんて素敵なことだろう。
そして、人の命を救っている私には幸運が訪れるに違いない。そう信じて献血会場に足を運んでいた。

献血は、簡単な体調チェック、血圧測定、医師の問診、検査のための採血を経て、ようやく本番の献血である。
この間多くのスタッフや医療従事者と話すことになるのだが、とにかく褒められる。
褒められなくとも、献血をする人に対してとにかく皆優しい。
常に体調を気遣われ、頼んだらドリンクを看護師さんが持ってきてくれる。
非常に気分が良い。


あるとき、ふと気がついてしまった。
私にとって、男遊びも献血も第三者から認められたいが故の行為であると。

私は、承認欲求が高いが、SNSで満たすのはダサいと思っている節がある。素直に家族や友人に「褒めて」と甘えられるタイプでもない。
そこで、男遊びと献血である。承認欲求をこじらせて行き着く先がまさかこの2つだとは。

他人にどちらを進めるかと言ったら、当たり前のように献血である。
男遊びは、写真送ったら連絡が途絶えるなど自尊心が傷つくことも多いし、妊娠や病気のリスクもあるし、人に大っぴらに言えることではない。
その点、献血はいい。100%スタッフさんに優しくされるし、採血で肝機能腎機能の指標も確認できるし、誰に言っても褒められる趣味である。

男に依存している女はみんな献血に行け。

ちなみに、男遊びと献血は並行して行えない。
不特定の異性と関係を持ってから半年は、献血が禁じられているからだ。
だから、私のような女は今すぐ男遊びをやめろ。6ヶ月禁欲しろ。
そして献血に行け。


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