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YouTube教育のすすめ―居眠りして寄りかかってくる隣の乗客への対処法

居眠りする乗客のスペースを消す

居眠りして寄りかかってくる隣の乗客が右側にいた場合、左側に身をずらしたくなるのが人情です。

ところが、左側に身をずらすと、事態はいっそう悪化します。寄りかかってくる乗客を押し返して反対側に身をずらしても、隣の乗客はふたたびウトウトしはじめ、またしてもこちらがわに倒れかかってきます。押し返しても押し返しても、ふたたびこちら側に寄りかかってくることを防ぐことはできません。

左側に身をずらしたことで、隣の乗客がこちらへ寄りかかってくるためのスペースが生まれてしまうからです。

ではどうするか?

こんなときは、逃げたい、避けたいという心理とは逆に、隣の乗客の側に体を寄せていくべきなのです。ショルダーチャージをする感じで、上半身よりはむしろ下半身、腰の位置を相手側に近づけ、右側の乗客側に対して体幹で壁をつくるイメージです。

居眠りして寄りかかってくる隣の乗客がいたら、そんな感じでこちら側にもたれかかってくるスペースを消してしまえばいいのです。

すると、どうなるか?

隣の乗客はこちらにもたれかかってくるのをやめて、反対側にいる別の乗客の方に倒れ始めます(笑)。

くだらないYouTube動画のスペースを消す

「逃げずに攻める」が極意です。

これは、子どもがスマホでYouTubeばかり見て困るという場合の対処法にも応用できます。

教室でのスマホYouTube使用から逃げずに、むしろ積極的に使わせるのです。

大学の教員になった5年前から、全国の高校に出前授業に行く機会が増えました。たいていの学校で授業中のスマホは禁止だったのですが、出前授業を受けるときだけ特別に許可をしてもらいます。そして、彼らのスマホをつかってYouTube動画を視聴させるという場面をつくってきました。

これまでの定番は、Prins Eaの「学校システムを告訴する」です。

たった6分間の動画ですが、強烈なインパクトがあり、高校生はもちろん一緒に参観している先生方にも深い感銘をもたらします。

出前授業で動画を見せるなら教卓にある端末で再生してプロジェクターで視聴させる方が効率的なのですが、私はあえてYouTube動画のQRコードを映写してそれを彼ら自身のスマホで読み取らせます。そして、「イヤホンがなければ、音を出してもいいよ」と言って、教室中にウワンウワン音を響かせながら「学校システムを告訴する」を視聴させます。

さて、それでどうなるか?

彼らが放課後、いつものようにYouTube動画を楽しもうとすると、Price Eaの動画がオススメ動画として表示されるようになるのです。

「学校システムを告訴する」という動画に心動かされた生徒たちの何割かは、きっとオススメ動画も見てくれます。

これで、大人から見てまったく望ましくないと思える動画を見るためのスペースが、少し消されるわけです。

こういうことを、全国の教育現場で各教科の先生方が少しずつでもやっていったら、子どもたちが見るYouTubeの世界が変わり、YouTubeの世界そのものも、大人が望ましいと思える「学び」の方向にシフトするはずです。

スマホを敵視し、YouTube動画をくだらないと切り捨ててきたことで、学校教育は、そういう可能性を閉ざしてきました。

逃げずに攻めること。

学校教育の体幹をしっかりスマホやYouTubeの側に持っていくこと。

PDFのプリントを配るだけではなく、NHK for Schoolばかりに頼るのではなく、彼らが日常的にふれているチャンネルに攻め入ることが肝要です。


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