菊池家リビングシアター 第6回「笑われた子」横光利一

ググってみたら、どうやら2015年のことになるらしいのですが、元モーニング娘。の中澤裕子が横光利一の「御身」という小説を朗読したオーディオブックがリリースされました。
もともとは、NHKラジオ第1「きらり10代!名作を読もう」で放送されたものですが、自分が卒業論文や修士論文で取り組んだ作家であり、文学史的に重要な作家であるとは言え、まさかアイドル歌手に朗読されるなどとは思ってもいませんでした。
というわけで、8年前、迷わずポチッとしました。

令和の御代、「ヨコミツリイチ? 聞いたことない…」という人が大半でしょう。
夏目漱石や太宰治などと比べたら、ずっと知名度が低い作家です。

そんな横光利一の朗読動画が、中澤裕子の「御身」から8年、じつは劇的に増えていました。検索すると、ゴロゴロ出てきます。

ただし、横光利一だけではなく、青空文庫収録の他の作家も同様です。

文豪の作品は、青空文庫によってパブリックドメインとなり、それがさらにYou Tubeの朗読動画のリリースへとつながっています。

近代文学の名作は、岩波文庫や新潮文庫より、You Tubeの朗読動画で受容される時代になっているのです。

ここで紹介するのは、そのような朗読動画の中でも異色作です。
3月18日(土)に武蔵野大学で開催される横光利一文学会「『子ども』の表象を問う」の準備を進める中で発見したものです。

夜な夜なこうした動画を収録している菊池家も面白いですが、改めて読み直してみると、横光利一の「笑われた子」もきわめて面白いです。

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