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つぶやきというデータの活用―文部科学省のウェビナーで聞いた池田修さんの話から

"データ"という言葉は一見単純に聞こえるかもしれませんが、その背後には多様な形状と意味が潜んでいます。この多様性が、実は新しい価値を引き出す契機にもなり得るのです。
その一例が対話AIとの日常的なインタラクションで、特に"つぶやき"のような言語的なオブジェクトを「データ」として捉え直すができるかどうかが、文系のプロンプトエンジニアリングの鍵を握ります。

池田修さんが文部科学省のウェビナーで、プロンプトによって文章を生成するプロセスを以下のように整理しました。

  1. データを用意する。

  2. 作業の指示をする。

  3. 追加の指示を出す。

  4. 生成された文章を校正する。

1番目にある"データを用意する"というプロセスに注目してください。
ふだん私たちが考える「データ」とは、数値化されたりリスト化されたりして整序された情報を指すことが多いのではないでしょうか。
しかしChatGPTを相手に対話する際には、整序されないまま投げ出されるつぶやきですら、「データ」となり得るのです。
「データ」は「用意する」ものではなく、自分の頭の中から「取り出す」ものであり、「ひねり出す」ものであり、自己内対話によって「引き出す」ものなのです。
そして、こうしてプロンプトとして提示された「データ」は、次に生成されるAIの回答、さらにその回答を基に生まれる新たな疑問やアイデアという形で、連鎖的に価値を生んでいくことになります。

この発想は、データという概念に新たな次元を与えます。つまり、数値や事実だけでなく、感情や感想、さらにはぼんやりとした想念や妄想とでさえ、クリエイティブな「何か」を生み出す鍵となる「データ」として働くのです。

こうして、日常のちょっとしたつぶやきや考えは、未来に向けて何らかの新しい可能性を生む契機となり得ます。
スティーブ・ジョブスが言ったとおり、"Connecting the dots"(点を結ぶ)ことが重要なのです。
ぽつりとつぶやかれ、投げ出された「点」であっても、それが固有性を持つ多様なものであればあるほど、未来を描く「線」も固有性があり多様なものになるのです。

つぶやきというプロンプトから始まるこの連鎖を促進させることができれば、私たちの思考は今よりもさらに豊かなものになっていくことでしょう。

  • この記事を含む、対話型生成AIとの一連の執筆過程のログはこちら!(この記事を書いたあとのログを含みます。)


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