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友情結婚と妊活(人工授精編)

当日の心情

とうとう、人工授精当日になりました。
私は子供が欲しくて仕方が無かったので、一日でも早く!という気持ちもあり、この日が待ち遠しくてたまりませんでした。一方で、もしこれで駄目だったらあと一ヶ月待つのか……という不安もありました。
一ヶ月に一回しかチャンスはなくて、その間も着々と自分は歳をとっていくわけです。私はまだ若い方で、平均的な結婚年齢にも達していないのですが、年齢的に制限がある方は本当に辛いだろうなと思いました。

当日は、時間の配分もわからなかったため、念のため午前だけ仕事に行き、午後はお休みを取ることにしました。結果的に良かったなと思います。
高橋さんは採取を病院か自宅か選べたのですが、自宅がいいとのことで、私が仕事を終わった後に受け取り、私一人で病院に行く、という形になりました。高橋さんも同席していても良いかなと思ったのですが、少し気まずいですし、結果としてやることもなかったので、先に帰ってもらった方が気が楽で良かったです。

友情結婚してから性的な接触が一度もない私たちですが、今回はさすがに(私だけかもしれませんが)ちょっと意識的になりました。どういう顔で高橋さんの摂取物を受け取ればいいのか……と複雑な気持ちにもなりました。
前にやった精液検査もそうなのですが、男性って結構抵抗がある方多いようですね。プライドというか、恥ずかしさというか……。
そうですよね、そういうものを提出するということは、そういう行為を一人でした、と言っているようなものですもんね。私だったら嫌です。
でも高橋さんは一度も嫌な顔せず、文句も言わずにやってくれました。私自身、高橋さんがそういうことをしている「事実」に嫌悪感が出るかも?と思ったりもしましたが、どちらかというと生物的な感覚しかなく、生きていくには仕方ないよね、とあっさり自分の中に落とし込めました。
女性は病院の先生とはいえ、他人に股を開いて見せるわけですから(しかも何回も)それに比べて見られないからいいじゃない、と思ったりもします。まぁ、感覚の違いでしょうか。

仕事が終わって病院の予約時間まで昼食を食べたりして過ごしていく中で、今朝まで「さぁやるぞ!」という気持ちだったのが、だんだん影ってくるのが自分でもわかりました。
怖いわけではないのですが、駄目だったらどうしようという不安や、緊張もあったんだと思います。なんで女性ばっかり検査したり、注射したり、身体の中いじられたり、我慢しないといけないんだろう。男性は出すだけで終わりなのに、というどうしようもない恨みもあったり。
時間が近づくにつれ「いや、他人の体液を自分の身体の中に入れるって、冷静に考えて気持ち悪くない?」という気持ちが増して、心の中で大パニックになりました(笑)
それを、いわゆる普通の人たちは、好きでやってるんだよな、と。到底理解できませんでした。生殖行為としてならまだ理解できなくもないんですが、子供を作る気がないのに好きでそういう行為をやることが、私には理解できません。好きで他人の体液に触れてるの?と思うと、ぞっとします。
高橋さんは人間的に好きですが、その人の体液を自分の身体の中に入れると思うと、ぞっとしてたまりませんでした。もうすぐ予約時間なのに、今になって怖気づくなんて……と自分でも驚きました。

高橋さんから容器を受け取るとき、もし「頑張って」とか言われたらその場で殴りそうなくらい憎しみの気持ちがありました(笑)
何で私だけ頑張らないといけないの、嫌な行為をしないといけないの、と。
ただ、実際は「よろしくお願いします」と事務的に、まっすぐ言うだけで、ほっとしました。この人は自分の責任と、私がこれからすることをわかってくれてるんだな、と思いました。

人工授精

病院に着いて、まずは受付で容器を渡しました。まずは精液の処理をするらしく、一時間弱はかかるということで、外に出るのも微妙だったので病院の中で本を読んで過ごしました。
ちなみに、私以外にもお一人、人工授精を予定の方がいました。

四十五分くらい経って呼ばれて、精液の状態を見た結果は良好なので、今日は人工授精できますと言われました。もし駄目だったら、また来月ということなのでしょうか?そういうハードルがあるとは知りませんでした。
診察室に呼ばれて椅子に上がり、緊張しましたが、不思議と嫌悪感はありませんでした。性的な感じというより、もう病院の処置、手術、のような感じだったので、事務的に終わりました。ただやっぱり器具を入れられるのは痛かったので、これまた来月するかもしれないのか……とテンションは下がりました。人工授精(精液を入れる作業)自体は、本当に一瞬で終わりました。

処置が終わってから、排卵を促すHcg注射を打たれ、着床率を上げるための薬と、抗生物質を出されました。自分は不妊ではなく健康体なので、注射や薬は若干抵抗がありました。
その後はベッドがある部屋に移り、腰の下にクッションをして高くされ、二十分くらい安静にしてから帰宅となりました。

人工受精後の体調不良

人工授精自体は無事に終わり、受診前のパニックや嫌悪感も収まってはいましたが、自宅に戻ってから気持ち悪さと腹痛に襲われました。生理痛ほどではないですが、キューっとした腹痛で、おそらく排卵痛ではないかと思います。
人工授精当日から四日くらいは痛みがあり、市販の鎮痛剤を飲むほどでした。三日目が一番ひどく、朝に鎮痛剤を飲んで、昼過ぎに効果が切れてまた飲んでしまうほど。結構辛かったです。
基礎体温もこれまでは綺麗に二層に分かれていたのですが、人工授精とHcg注射をした途端にガタガタになりました。排卵をしているはずなのに、高温期がこずに低いままで、若干ゆるやかに上昇している?くらいの。今回は駄目だったのかなと落胆しました。
でもまだ、二週間後に生理がくるかどうかだから、わからない!と気持ち半々で過ごしていました。少しでも「あの時こうしたから駄目だったのかな」と後悔しないように、身体が冷えないように気を付けたり、なるべく安静に過ごすようにしたり。
以前SNSかブログで「不妊治療して生理が来るか待つ時間は、大学入試の結果発表を待つ時間のようで、それが毎月あるからしんどい」というお話を読んだことがあり、まさしくそうだな!と思いました。
特に不妊治療は、自分の努力でどうしようもないから、後悔も何もできないんですよね。精一杯、不安を排除して待つしかない。
私と高橋さんはどちらも不妊原因がないのですが、不妊治療している方は(原因不明の場合もありますが)何かしら理由があったりして。それによって自分や、パートナーを責めてしまう気持ちが、とても痛いほどわかりました。でも、どうしようもないから、もどかしい。
私たちも身体的に問題がなくても、妊娠できるとは限らないし、できないかもしれない。そう思うと、命を授かるってすごい確率だなと思いました。

そうして次の生理まで、結果を待つ日々が続きました。

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