1ミリも触れたことが無い人と、結婚しました。
友情結婚、という言葉をご存知でしょうか。
私は、恋愛結婚が出来ません。
異性を好きにはなるけれど、性的接触をすることが出来ません。手を繋いだり、ハグをすることはむしろ好きなのだけれど、それ以上のことができません。できないというより、感情がない、という方がしっくりくるかもしれません。
私には、性的欲求がありません。
人を好きになれるのに、性的感情を向けることが出来なかったのです。
好きならそれだけでいいじゃん、子供を授かるためならまだしも、そんな定期的にしないとダメなの?なんのために?とずっと思っています。
作業的なものとして理解はできるけれど、『好き=性行為をする』が結びつかなかったのです。
お付き合いしている人がいるときも、求められると「???」と疑問ばかりでした。自分自身が相手とそうなりたいと思ったことが無いので、求められても相手も気持ちがわからず、え、なんで?と不思議でたまりませんでした。
感情が無いものを、したいと思わないことを、しなければいけないことは苦痛でした。
食べる習慣がなく、食べたいとも思わない食べ物を、「周りが食べてるんだから食べなさい」と言われているような感覚でした。
求められているような気がして、過度なスキンシップも苦手でした。
「好きならできる」「そう思わないのは本当に好きではないから」。
なんて言葉は死ぬほど聞きました。
好きと言って、好きだと言われて、手を繋いで、一緒にいて、楽しくて、嬉しくて。そんな暖かくて、幸せな感情を、性行為ができないという一つの原因だけで「本当ではない」と言われるのは悲しいことでした。
好きという感情一つあれば、どちらかがしたくないことをする必要はないのではないか。
そう思うけれど、一般的には違うようです。
恋愛をする以上は、人を好きになる以上は、性行為は絶対に必要らしいです。
それじゃあ、私は人を"本当に"好きにはなれないな。
だって、「そうしよう」としてそうなったわけではないのに、自然と、自分という人間の感情に、それが無いから。
ぽっかり穴が空いたような気持ちでした。
何で私は普通にできないのだろう。そう思えないのだろう。何が悪かったのだろう。本当に好きじゃないから?じゃあ、好きになるって、何?
この感情は、全部、嘘だった?
そういう私の性質を『ノンセクシャル』というのだと知ったのは、18歳のこと。
『友情結婚』という選択肢を知ったのは、21歳のこと。
一生誰とも一緒になれない。絶望していた、18歳の夏。
その数年後、私は友情結婚しました。
手を繋いだことも、肌に触れたこともない、人と結婚しました。
恋愛でいう『好き』という感情で繋がった相手ではないけれど、大切な人ができました。一緒に過ごしても絶対に求められることが無い。無理しなくて良いことが、こんなに幸せだとは思ってみませんでした。
ノンセクシャルだと知って、友情結婚を知って、同じような気持ちでいる方がたくさんいるとわかりました。と同時に、あまりの情報の少なさに、自分自身の不安もたくさんありました。
自分の記録用に、また、ノンセクシャルや友情結婚で悩んでいる方に、少しでも参考となるよう、ブログとして残していこうと思います。
※なお、個人の特定ができないよう、名前や年齢、地名以外にも、一部フィクションとして記載させていただきます。可能な限り、状況や感情はそのままにしています。
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