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入れ込むくせ

映画、本、マンガ、アニメその他。そういうものに気持ちをものすごく持っていかれる。そのことで頭がいっぱいになって、あっさり泣いてしまう。それが楽しい時もあれば、どうしようもなくつらいときもある。

その、辛い方の話。



とても好きな二人組がいる。話がおもしろくて、頭が良くて、テンポの良い掛け合いは地獄を歩いていたわたしを助けてくれた。二人の笑い声がいつだって癒しだった。

その二人組は、長いこと友だちらしい。だからこその、この息のあった掛け合いなんだなと思う。その二人の声が、しばらく、もしくは金輪際聞けなくなってしまうことになった。その理由を本人たちの声で知るのはあまりに怖く、まだ聞いていない。けれど、伝え聞いた話によれば、続けていくにはあまりにも辛くなってしまったのだという。


自分を許せない、というほどに自分を追い込む人に、それを救う言葉などないと思う。あなたはそれでいい、そのままでいい、なんて言われたって納得していない自分を受け入れられるはずがない。許せないものは、どうしたって許せない。だからこそ、周りは辛いのだ。寄り添い闘うことすらできない。これほどまでに、ダメなものはダメ、ということがあるか。変わろうと思うその意思を、私たちは受け止めるほかない。


二人の声が聞けなくなることがこんなに辛くなるなら、もう大事なものなんか作りたくない、と思うほど、わたしはこの二人に入れ込んでいた。普段は入れ込まないよう、依存しないように距離をとっていろんなものと接しているのに、ふと寄り掛かった二人をこんなに大切に思うとは思いもしなかったのだ。なにに涙しているか分からない。二人の心境?わたしの喪失感?こんなにもわたしは二人に励まされていたのだと痛感する。


これからその理由を聞こうと思っている。二人の声で。祈りのようなもの。どうか二人が楽しく生きていけますように、と。

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