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小児がんの少女との思い出。 #キナリ杯


初めまして。のぞみといいます。

今回岸田奈美さんのキナリ杯の記事を拝見して、私も書いてみたいなぁと思い挑戦することにしました!拙い文章ですが、読んで頂けたら嬉しいです。

----始めに----

これは私が新人看護師のときに経験した出来事です。

大事にとってある1枚の写真がある。
写っているのは笑顔の女の子と私。
後ろにはHAPPY BIRTHDAYの飾り。
この日は彼女の6歳の誕生日だった。
ただ一つ違うのはここは家ではなく病院だったこと、そしてこの10日後には彼女はもうこの世にいなかったこと。

----理想と現実----

就職して初めて配属されたのは小児科だった。
第一希望で本っっっ当に嬉しかった。
子どもが好きで彼らの心の支えに少しでもなれたらいいな、と思っていた。私自身入院した経験もあったから尚更。

しかし現実は私の理想と大きく異なっていた。
疾患の勉強、検査、点滴等の処置に追われ毎日2〜3時間の残業は当たり前。要領が悪く同期と比べても大きく遅れをとっていた。多分ほぼ毎日泣いていたと思う。

21時すぎに帰って、寝て。
7時にはまた出勤の繰り返し。

「なんで看護師してるんやろ…」
気づいたらそんなことを日々考えていました。 

----彼女の存在----

彼女は受け持っている患者の1人だった。

長期入院の患者が多かったのもあり、普通徐々に信頼関係が築かれていくが私はコミュニケーションが苦手で。看護師としてはなかなかの致命傷だった。

それなのに彼女は私が担当のときいつも「〇〇ちゃん!(私の名前)」と笑顔で呼んでくれた。私にとって「看護師さん」ではなく名前で呼んでくれたことはとても嬉しくて。存在を認めてもらえたような気持ちだった。彼女の母親もまた優しい方で、未熟な私を温かい目で見守ってくれた。この子がこんだけ辛い治療を頑張ってるんだから私も頑張らなきゃな、と思わせてくれた。

----突然の別れ----

彼女は誕生日を迎えた後、大きな治療を受けた。新人の私は担当出来ずしばらく会えていなかった。

休み明けで出勤したとき違和感を感じた。
彼女の部屋が空室になっていたから。え、何で。
その後知らされたのは一番聞きたくなかった言葉だった。信じられなくて。本当に悔しかった。


----そして、今----

それから年月が過ぎた。

環境は変わったけれど、私は今も看護師として働いている。その後も多くの患者との出会い、別れを経験したが、やっぱり彼女のことは忘れられない。写真を見るたび当時を思い出して初心にかえる。彼女はもっと生きたかったはず、頑張らないとと思わせてくれる。辞めたいなぁと思うことはしょっちゅうだけど(笑)

あのとき私と出会ってくれて、支えてくれてありがとう。



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