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「学習する組織」を読んでみた

ピーター・M・センゲ著の「学習する組織」を読んでみたので、重要な5つのディシプリンと、私の感想をまとめてみました。

読むきっかけ

私はソフトウェア開発をしていて、今期から LeSS をベースに開発をしています。LeSS 実践者研修を過去に受けたのですが、システム思考によるメンタルモデルについてよく理解できなかったので、LeSS がリファレンスしている本書を読むことにしました。

5つのディシプリン

ディシプリン(discipline)は直訳すると "規律" ですが、本書では「実践するために勉強し、習得しなければならない理論と手法の体系」と意味づけています。

・システム思考
・自己マスタリー
・メンタル・モデル
・共有ビジョン
・チーム学習

これらの原則を実践していくことで、学習する組織を築いていきます。

システム思考
人ではなく仕組みで改善を促していきます。よく人のせいにしてしまったりしていないでしょうか。そうではなく、仕組み(システム)や関係性を見直さなくてはいけません。
システムを見ることで、対処療法ではなく根本解決を見出すことができます。

自己マスタリー
言い換えると自己実現であると思いました。アジャイルが理想的な開発プロセスであるように、演奏家が最も素晴らしい演奏したいと考えるように、終わりのない理想状態へと向かい続ける意識なのだと。
自己マスタリーは他者に求めるよりも先に、自分自身が実践して背中を見せなくてはいけません。7つの習慣の自己研鑽とも通じるものがあります。

メンタル・モデル
「振り返りの実践はメンタル・モデルのディシプリンの真髄である。」とあるように、経験したこと、感じたことをモデル化し、問い直す。
ジャズ・ミュージシャンの即興演奏を例に上げており、彼らは即時に互いの演奏のフィードバックを受け取り、調整して、グルーヴを生み出している。

共有ビジョン
ビジョンを共有していないと、集団が向かうべき先がわからなくなってしまう。ビジョンを掲げても、作成した人の独りよがりになってしまうことがある。トップダウンであっても、ボトムアップであっても、共感を得ないビジョンは共有されないだろう。

チーム学習
個人で学習することは必要ですが、チームで学習することで得られる相乗効果は言うまでもないでしょう。本書では、チーム学習の中で、ディスカッション(議論)ではなくダイアログ(対話)を行うことを促しています。ダイアログは勝ち負けがなく、相手を理解し、また自分自身の思考も観察する。

感想

本書で紹介される事例はとても具体的であり、そこで指摘される組織課題は誰しも経験したことがあるであろう内容が示されています。読んでいて皮膚をつねられたような痛みを感じます。

だからこそ、上の5つのディシプリンの重要性を理解できます。そして、システム思考によるモデル化での解決策の検討という方法が、生々しい複雑な課題をわかりやすく、対話をしやすくしてくれるのでしょう。

学習する組織を目指したいなら、まず自分自身が学習すること、そして輪を広げていくこと。これは Scrum Master Way と同じ手法ですね。
Scrum Master Way は、The Great ScrumMaster で提唱されている考え方です。日本語版も発刊されるので、そちらも改めてまとめてみたいと思います。

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