2019 F1 Rd.14 イタリアGPプレビュー
晩夏の2週連続ハイスピードバトル!
舞台はベルギーからイタリアはモンツァ・サーキットに移し、日本時間2019年9月6日18時からフリー走行1が開始されます。
サーキット概要
モンツァ・サーキットはイタリア最大の都市ミラノから北東に約15kmに位置し、1922年に完成した「世界でも最も古いパーマネントコース」の一つ。
4つのロングストレートが特徴的なF1で最も速いサーキットです。
全周5.793km。2018年の予選ではキミ・ライコネン(当時フェラーリ、現在アルファロメオ所属)が過去最速ラップの1分19秒119を叩き出し、平均時速は驚異の263.587km/h。これは新幹線でも一番速い区間、東北新幹線の大宮〜仙台間の時速とほぼ同じです。
スピードトラップはターン1の手前212メートルの地点で計測、2018年は決勝でセルジオ・ペレス(レーシングポイント)が362.5km/hで通過しています。
コースレイアウト
メインストレートは1.1kmにも及びF1サーキットの中で最も長いストレートの一つ。1993年にはミナルディ(現トロロッソ)のクリスチャン・フィッティパルディがゴール直前に同僚のピエルルイジ・マルティニと接触、空中で一回転しマシンを損傷したままゴールしたというハプニングもあります。
ターン1とターン2は360km/hから一気に70km/hまで減速する第1シケイン。ベルギーのスパ・フランコルシャンのターン1と同じくオープニングラップでのハプニングが多く、1978年にはティレル(現メルセデス)のロニー・ピーターソンが決勝スタート後にクラッシュし負傷し、翌日に亡くなる事故も発生しています。
ターン3は右に大きく曲がりながらもアクセルはほぼ全開、ターン4とターン5は第2シケイン。セクション1はフィニッシュラインからターン4の手前233mまでになります。
ターン6とターン7は高速複合コーナーのレズモ。ここは鈴鹿のデグナーと同じく右・右とリズムよくスピードを保ったまま抜けなければならない区間です。またDRSゾーン1の計測地点はこの中間です。
続くストレートはDRSゾーン1が使える区間、レズモを上手く攻略しないとここのスピードはのりません。
ターン8、ターン9、ターン10はアスカリ・シケイン。1952年、1953年のワールドチャンピオンであるアルベルト・アスカリがここで亡くなったことからそう呼ばれています。
DRSゾーン1はターン8のブレーキングポイントギリギリまで設定され、ここは数少ないモンツァのパッシングポイントでもあります。
モンツァで一番速いシケインなのでレズモ同様、ここを上手く攻略してバックストレートにつなぐ必要があります。
セクション2はターン8の手前215mまで。
最後のターン11は、スパ・フランコルシャンのオールージュや鈴鹿の1コーナーと同じくドライバーの度胸が試されるパラボリカ。イタリア語で放物線を意味します。
バックストレートから一気に減速し、コース幅いっぱいを使って大きく右に曲がってメインストレートにつないでいきます。
DRSゾーン2の計測地点はターン11の手前20mです。
メインストレートに戻りDRSゾーン2はフィニッシュラインの115m先から始まり、ターン1の入り口まで設定されています。
注目ポイント
モンツァで注目したいのは2つのDRSゾーンとレズモです。
エンジンの全開区間はおよそ80%と非常に多く、またダウンフォースも非常に少ない空力セッティングとなるため、2つのDRSゾーン終点にあるシケインへの飛び込みがモンツァでも数少ないパッシングポイントになります。
如何にしてDRSゾーンで先行車に並び、タイアロック寸前までのハードブレーキングできるかで勝負は決まります。
レズモは少ないダウンフォースで速く走れるか、つまりサスペンション回りのセッティングとPUの立ち上がりトルクが重要になります。
第2シケインからの立ち上がり、レズモへの進入速度とフロントタイアのグリップ、ターンを抜けた後のリアタイアのグリップがセクション2のタイムに大きく影響します。レズモの途中にDRS1の計測地点があり、ここにDRS圏内に入ってアスカリ・シケインでまでのDRS1ゾーンで勝負を仕掛けられるのかが重要です。
タイアチョイス
イタリアGPでの各車のタイアチョイスは以下のとおりです。
タイアコンパウンドは前戦ベルギーGPに比べ1段階柔らかいC2/C3/C4です。
PU交換によるグリッド降格ペナルティが決まっているレッドブルのマックス・フェルスタッペンはソフトと多めにチョイス。
上位勢の2台、フェラーリのセバスチャン・ベッテルとメルセデスのバルテリ・ボッタスがそれぞれミディアムを最多の4セット選んでいます。
フリー走行をミディアムで走り、決勝向けのセッティングを煮詰めることを意味しているのでしょうか。
特にベッテルは去年のベルギーGP以来、1年以上勝利から遠ざかっています。
地元フェラーリの母国イタリアでベッテルはティフォシに勝利を届けられるか、注目です。
F1水先案内人のここが見たい!
ここではF1水先案内人の野村が「ここが見たい!」と思う個人的なドライバーやチームなどをピックアップしていきます。
今回のここが見たい!は
「トロロッソのダニール・クビアトの走り」
です。
もうこのモンツァはフェラーリがやっぱり一番優勝に近いはずです。
高速サーキットで本当に強いフェラーリの車体とPUの優位性は揺らぎませんし、ファンの皆さまもそう思っていることでしょう。
ベルギーGPでは圧倒的な速さでシャルル・ルクレールが勝ちましたしね。
これはもう当たり前過ぎます。
では何故、トロロッソのダニール・クビアトの走りを見たい!のか。
実は非常に好条件が揃っているからです。
前戦ベルギーGPからホンダPUのスペック4が投入されましたが、決勝のスピードトラップでは3番手だったのです。(ちなみに1番手はルノーのニコ・ヒュルケンベルグ、2番手はレッドブルのアレクサンダー・アルボン)
ホンダPU勢の中でもスペック4で一番走っているのはクビアト、特性を一番知っているのは彼です。
スパのスピードトラップはオールージュ、ラディオンの少し先ですが、そこから先の高速域の伸びは素晴らしく、数字には出ていませんが上位勢に引けを取らないパワフルさでした。
19番手からの7位フィニッシュは中団勢でも際立ったの走りだったと感じます。(マクラーレンのランド・ノリスは最後の1週だけが…)
スペック4自体もトラブルフリーで、他のメーカーの新型PUよりも信頼性が高いと考えています。
またクビアト本人のスキルも成長しました。
断言します。
かつてのレッドブルに在籍していた時のクビアトは「速いけど粗い」ドライビングでした。またベッテルとの接触や口論によりクビアトの粗さをよりつよく露呈され、トロロッソに降格。さらにシーズン途中で解雇されF1のシートを失うことになり、彼のF1レーサー人生はそこで完全に終わってしまった思われました。
フェラーリの開発ドライバーとしての日々を送っていた矢先に、まさか自分を解雇したトロロッソからまた声がかかるとは思っていなかったでしょう。
巡り合わせか運なのか。
序盤戦は中々思うような走りができませんでしたが、徐々に「速いしスムース」なスタイルになってきたように思えます。
それを証明したのがドイツGPの3位表彰台であり、ベルギーGPの7位入賞だと確信しています。
その上、今回はグリッド降格のペナルティはありません。
今戦で一番「美味しい」所にいるのは実はクビアトの可能性があるのです。
また今戦はトロロッソの母国GPでもあり、2回の表彰台獲得の内、1回は2008年のイタリアGPでの優勝。しかもレッドブルより先にポディウムの頂点に立ったというオマケ付き。
トロロッソのスタッフはレッドブルよりもホンダとの付き合いは1年長く、最近の好成績で士気も上がっていることでしょう。
成績も既に去年のポイントを上回っており、トロロッソの競争力も成長している最中だと思います。
ならば!
やあやあ遠からん者は音にも聞け!
我こそがイタリアはファエンツァのF1チーム、レッドブル・トロロッソ・ホンダ!
戦国乱世の中団勢を斬り捨てて、狙うは表彰台の頂のみ!
いざ尋常に勝負!
完全に時代錯誤していますが、こんなノリと勢いでトロロッソを駆るクビアトがバッサバッサとオーバーテイクショーを魅せたら堪らないじゃないですか。痛快じゃないですか。
タイムスケジュール
Rd.14 イタリアGP フリー走行1 2019年9月6日18時00分から
Rd.14 イタリアGP フリー走行2 2019年9月6日22時00分から
Rd.14 イタリアGP フリー走行3 2019年9月7日19時00分から
Rd.14 イタリアGP 予選 2019年9月7日22時00分から
Rd.14 イタリアGP 決勝 2019年9月8日22時10分から
(以上、全て日本時間)
天気予報
イタリア・モンツァの天気予報です。
・2019年9月6日 曇り 21℃/15℃
・2019年9月7日 晴れ所々曇り 26℃/16℃
・2019年9月8日 晴れ一時雷雨 22℃/12℃
決勝の日曜日は一時雷雨の可能性あるとのことです。
時間帯はわかりませんが、レースにどう作用するのか注目です。
参照:https://www.accuweather.com/en/it/monza/214047/daily-weather-forecast/214047