2023年ドラフトから1日経って、東京ヤクルトスワローズのドラフト指名選手をポジりながら考える

かつてははてなブログのほうでやっていましたけど、今はnoteと言う媒体があるからこちらでやるべきだと思うのでこちらで。
noteと言う媒体が今月始めてのご無沙汰だったのですが、そこは本題とは何ら関係ないのですっ飛ばします。似たようなことはnoteに限らず、ブログと言う媒体にも限らず多くの人がやっているかと思いますが、構わず自分の考えを開陳するために書きます。基本的にはドラフト選手も、東京ヤクルト在籍選手もポジティブに書くつもり。


ドラフト1位:西舘昂汰(筑陽学園高→専修大)

188cm92kgの恵まれた体格から繰り出す最速152キロのストレートは打者の手元で微妙に動き、スライダー・カットボール・カーブ・チェンジアップなどの変化球を交えて相手打者を打ち取る。筑陽学園高時代は甲子園に2度出場し、大学公式戦通算8勝。
指標を見ると奪三振率が低いので、投球スタイルと併せて考えれば予想されるのは「打たせて取るタイプ」。東京ヤクルトの先発型投手でいわゆる「ドクターK」と言える投手はいないんですが、恐らく西舘もこうなるのではないかと思います。コントロールも取り立てて優れているわけではなさそうですが、防御率ベースでは東都二部ながら通算で1.71と安定しているので、そこは評価出来そうなポイントです。
東京ヤクルト入団後を考えた時に、まずドラフト1位ルーキーは先発で試すので、西舘はまず二軍でしっかり成績を残したいところ。スタイルとしてはパワーピッチも出来るようにして欲しいところですが、とにかく「先発で結果を残す」ことがチームにとっても大事なポイント

東京ヤクルトスワローズと言うチームの投手陣を見るにあたっては、ファンもアンチもそうでない人も多数が抱く共通認識として「投手育成が不得手」があると思いますが、より正確に言うなら「先発投手の育成が不得手」。実はリリーフ投手だけなら、ここ5年単位で言えばむしろNPB12球団では上半分に入るほうだと思います。
なので、「西舘クラスの投手をしっかり一軍の先発ローテーションに育成し、定着させること」がチームとしては大事。1年目から小川泰弘と言う二匹目のドジョウを狙う必要はないですが、2~3年後には表ローテーションを張って欲しい投手です。

ドラフト2位:松本健吾(東海大学菅生高→亜細亜大→トヨタ自動車)

最速152キロのストレートとフォークボール、カットボール、スライダー、カーブなどが持ち球。2022年の日本選手権では、パナソニック相手に1安打完封勝利をマークしたこともある即戦力候補。
大卒社会人なので即戦力で期待したいところですが、松本を先発とリリーフどちらで使うかは西舘よりは迷うところ。社会人時代の全国大会成績を見ると好印象で、上述の通り1安打完封の実績もあるので、「東京ヤクルトは慢性的に先発の駒が足りない、使える駒はどれだけ多くてもいい」と言う理論を取るとするなら個人的には先発で試したいですね。実績はある投手なので、その場数を踏んだメンタルにも期待したい。

ドラフト3位:石原勇輝(広陵高→明治大)

最速149キロのストレートと落差のあるカーブの緩急で勝負する左腕。持ち球は他にスライダー、チェンジアップ。高校時代は甲子園で登板したこともある。
大学時代の通算成績が22試合登板43.0投球回なので、もし仮に1年目から投入するのであればリリーフか。四死球率が高めでコントロールには不安を残すものの、奪三振率8.37は評価したいポイントで、プロに入ってから球速が上がればリリーフとしてはもちろん、可能であれば先発でも見てみたい素質があると思います。育成としてはまず二軍で先発・リリーフどちらが向いているか適性を見極めて、コントロールも磨きながら一軍で抑えるために必要なパワーを身につけられれば。順位を考えても手堅く指名したと思うので、慣れ親しんだ神宮の地で成長した姿を見たいものです。

ドラフト4位:鈴木叶(常葉大学附属菊川高)

二塁送球1.84秒のスローイングを持ち、打撃でも高校通算17本塁打をマークした攻守の要。
まずドラフト全体にあたっては、高校生捕手で高い評価を受けていたのは他にオリックスに指名された堀柊那(報徳学園高)あたりか。東京ヤクルトの4巡目はオリックスより先で、もしここで「高校生捕手を1人」となれば堀と鈴木を天秤にかけていた可能性もありますが、ここで鈴木を選んだのはぼくにとっては意外でした。ただ見返すと、橿渕聡スカウトグループデスクが堀より鈴木を評価しているように見えるコメントを出していることから、選べる選択肢の中で鈴木を選んだのではないかと思います。

今季、東京ヤクルトの捕手は根本的に頭数が足りなかったので(シーズン途中にフェリペを獲得したのも恐らくこれ)、ぼくも「そろそろ高校生捕手が欲しい」とは思っていたところで鈴木を指名したので、ここが個人的に1番評価したい点。特に二軍は、一軍に内山壮真が持って行かれた関係で最多出場が松本直樹の49試合、次いで育成ルーキー橋本星哉の41試合。橋本は外野手としての出場も多く、言葉を選んで言うなら「高卒捕手を二軍で育てる余裕のあるチーム状況」ではあるわけです。打力がある(かつ捕手守備に難のある可能性のある)捕手はコンバートを考えてもいい中で、橋本がもし来季以降外野手に本腰を据えるなら二軍の捕手は「鈴木のもの」なので、結構まとまった経験を与えられるのではないかと思っています。一軍・二軍を問わないのであれば、東京ヤクルトにはWBC世界一を経験した中村悠平や、野球センスを既に一軍で発揮している内山壮真、努力で一軍に定着した堅守の古賀優大など「お手本」となり得る先輩が多いですから、鈴木も彼らに学んで大成して欲しいものです。

ドラフト5位:伊藤琉偉(東京農業大学第二高→東京農業大中退→新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ)

右打者ながら一塁駆け抜けタイムは4.2~4.3秒をマークする俊足と、BCリーグでは41試合の出場で打率.336、4本塁打をマークした打撃力が光る内野手。
東京農業大時代も二部ながら1年春から公式戦出場を果たしていたので、恐らく力はあったのでしょう。3年次に中退し、5月に入った新潟アルビレックスBCで才能が開花したか、上述の成績を記録。BCリーグの成績を額面通り見るならば、垂涎ものと言える「打てる遊撃手」です。守備でも新潟の監督である橋上秀樹から絶賛の評価を受け、特に球際の強さが持ち味とのこと。
東京ヤクルトが独立リーグ出身の野手を支配下で指名するのは2012年5位の星野雄大(香川オリーブガイナーズ)以来だったはずですが、もちろんのことながら星野とは単純比較が出来ません。ただ伊藤の独立リーグでの成績を見る限り「期待が出来そう」なので、まずはプロで遊撃手としてやって行けるかどうかは重要な見極めポイントになりそうです。

ちなみに遊撃手の事情として一軍には長岡秀樹がいますが、長岡もまだ一本立ちとは言えない成績。二軍に目を向けると、小森航大朗と元山飛優がイマイチ出場機会の伸びていない部分もあるので、伊藤はまず小森や元山との競争になるはず。「長岡を安穏とさせない」だけで言えば、伊藤と小森・元山、あとは武岡龍世あたりも候補になりますが、とにかく長岡に胡坐をかかせない対抗馬が欲しい。
ただし武岡に関しては衰えの見え始めている山田哲人の後釜となる二塁手の候補にも入って来るので、伊藤がまずは二軍で小森と元山に危機感を抱かせるだけの数字は残して欲しいところ。伊藤は大学で外野手や二塁手、一塁手の経験もあるので、もしかしたら宮本丈や松本友のようなタイプになるかも知れませんが、ともかくまずは独立リーグで結果を残した打撃でアピールしたいですね。

育成ドラフト1位:髙橋翔聖(鶯歌工商高)

身長187cmの恵まれた体格から繰り出す、最速147キロのストレートは伸びしろ十分。カーブ、スライダー、チェンジアップ、ツーシームと多彩な変化球も武器の、台湾から指名された異色の逸材。
ドラフトはたまにこう言う「隠し玉」があるから面白いなと思いますが、髙橋に関しては前から情報がちらほらとあったようです。素材としては確かに面白いと思うので、育成ドラフト1位ながらこの素材をしっかり育てられるかどうかは「球団の育成力」が問われます。台湾生まれ台湾育ち(来日の経験は何度もあるらしいけど)の高校生と言うことで、まずは二軍でプロや異国の環境に慣れながら成長を見せてほしいですね。
台湾からだと、先日北海道日本ハムが孫易磊の獲得を発表。U-18台湾代表に選出され、最速156キロの速球が魅力の孫とは年代も近いので、髙橋がどこまで孫のことを意識するかは分かりませんが「追いつき追い越せ」を期待したいです。

育成ドラフト2位:髙野颯太(三刀屋高)

最速153キロのスイングスピードが生み出す高校通算29本塁打の長打力と、遠投100m・50m6.1秒と言う高い身体能力を持つ、三刀屋高初のプロ野球選手。
甲子園出場はないもののU-18日本代表の1次候補に選ばれ、夏の島根県大会では8球団のスカウトが視察するなど、ドラフト候補としてはスカウトからしっかり注目されていたようです。身長は176cmながら体重90kgとガッチリした体格も魅力で、ポジションとしては三塁手や外野手を務めているので、プロ入りすれば髙野もまた「ポスト村上宗隆」の1人になるでしょう。
高校野球としては無名校である公立の出身なので、プロで活躍することを考えたらまずは「野球脳」を仕込むことからスタートか。似たようなケースに東北楽天の西口直人などがありますが、「プロの水に慣れる」と言うことは「野球を仕事とするだけの力量と知識を持つ」こととも言えるので、どれだけプロから吸収出来るかは大成するためのひとつの指標になりそう。素質だけなら「育成ドラフト指名」を抜きにしても面白いので、最終的にどのポジションへ落ち着くかはともかく育ってくれればいいな、と思います。

総括

ドラフト指名の人数から言えば、戦力外と引退による退団選手が少なめだったのもあったので、「本指名での数は少ないだろう」と思っていたところが5人だったのは「もう1人くらい行ってもよかったのでは」と思いつつ納得。育成選手に関しても、まだ二軍施設の埼玉県戸田市から茨城県守谷市への移転が決まったばかりでインフラがないことを考えれば納得します。育成選手をもっと指名するような状況になるのは、二軍施設の移転後からになるでしょうからね。
言い換えれば「少数精鋭」とも言えるドラフトですが、球団の編成状況とドラフトの結果を比較するなら、今年もちゃんと評価出来るのではないかと思います。どれだけの選手が活躍出来るかは分からないですが、まずは将来の活躍、飛躍に期待したいです。

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