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8月4日の日記「終わりの夏へ、カウントダウン」


 昼飯買いに行ったローソンで、チーズ春巻きを見かけた。その名の通り、春巻きの皮でチーズを包んで、揚げている。実家にいた頃、よく作ったなぁ。でも、かなりローカルな食べ物だと思ってた。うちでは、「チーズ春巻き」って呼び方じゃなかったしね。いくら素材がそうだとは言え、春巻きと呼ぶには余りに痩せこけてる。それが理由かは知らないけど、うちではこの料理をチーズ春巻きではなく、「チーズまきまき」と呼んでいた。まあ、こんな間抜けな名前の料理が、普遍的なものたぁ思わないっしょ。


 「まきまき作るよー」と母が号令をかけると、自分と妹は、せっせと春巻きの皮でチーズを巻く。もう一つの具はソーセージで、チーズとソーセージをバランスよく消費、時にはチーズとソーセージをどちらも入れた「アタリ」を作ったり、逆に何も入ってないものを作ったりする。ただ後者は、決して「ハズレ」ではなかった。素の春巻きの皮を揚げるだけで、普通に美味いから。特に、チーズとソーセージのこってりした旨味にやられたタイミングで食う素揚げの、素朴な味わいたるや。まさに、「引き算の美学」である(そこまでか?)。

 1人暮らしをしているときも、ごく稀に作ったな。……まだ絶賛1人暮らし中なのに、「作ったな」とナチュラルに過去形にしている点から、今の俺の自炊意識の低さが窺える。チーズを包んで揚げるだけだから、味の再現は容易いし、普通に美味い。でも、妹と分担してもめんどくさかった包む作業を、1人でやるのはかったるく、後半はただ春巻きの皮をそのまま揚げて、塩かけてポリポリ食べてた。すごい貧乏に見えるけれど、結局それはおやつ代わりであり、別口に飯は食う。それに、揚げ物の時点でコスパはよいとはいえない。どうせ油を使うなら、もっとしっかりした料理を作るべきだろう。そのあたりを考慮すると、1個3円程度のこの料理、実はあんがい贅沢品だったのかもしれん。


 そんなノスタルジー(?)を感じ、ついそのチーズ春巻きを買ってしまった。……が、揚げてから時間が経ってしっとりしていたので、風味はそこまでよろしくなかった。まあそれは予想の範囲だったけれど、値段はちょっとびっくりしてしまったな。チーズ春巻き、6本で200円取るんかい。俺はコンビニの商品を値段見ずに「でもだいたいこんなもんやろ〜」とレジに持って行き、予想以上の値段が表示されて内心激しく動揺するも、「あ〜クリームどら焼き250円ねはいはい。なんなら300円行くと思ってましたわ。手頃だねぇ」みたいなツラで会計を済ますという習性がある。



 夜、家に帰ると、1日中部屋で蒸された空気を全身に浴び、汗が噴き出てくる。でも、冬にこの空気を浴びたら、「あったけ〜」って心地よく感じるような気もするんだよね。今が2月だと思い込むことで、8月の暑さは乗り切れるのではないか!? ……いや、無理だわ。普通に夏でもエアコン効き過ぎて寒いとか感じたりするし。

 そうそう、エアコン。壊れていたと思っていたエアコンが直った……と思ったら壊れた。と思ったら、また直った。エアコンのボタンをねっとり長押しすると点くようになったよ。でも、快方には絶対に向かってないな。むしろ、完全なる死への道のりを着実に進んでいる。今、頑張って動いているエアコンを見ると、最後に燃え上がる線香花火のような、今際の際の煌めきを感じ、切なくなってしまう。夏の風情を感じますね。……なんて余裕、エアコンが完全に壊れたら完全になくなって、毎日暑さにブチ切れることになるんでしょうね。


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