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ワインボトルにはサイズや種類、色の違いがある!基礎知識を学ぼう!

ワインを保存する道具と言えば、ワインボトルです。

ワインボトルは細長いガラス製の瓶で、今やワインを保存するだけでなくさまざまな用途で使用されています。

ここでは、ワインボトルの種類やサイズ、色などについて学んでいきましょう。

ワインボトルが使われるようになった歴史


その昔、ワインは「クヴェリ」と呼ばれる大きな甕に保存されていました。

クヴェリはワイン発祥の地と考えられているジョージアで使用されていたもので、内側が蜜蝋によってコーティングされている赤粘土を素焼きにした丸状の壺です。

ワインが航海輸送されるようになってからは素焼きの粘土で製造されたアンフォラがワインの保存容器として活躍しますが、その後は陸上での輸送のしやすさから木製樽が普及するようになります。

ガラス自体は紀元前1500年頃に存在していたと言われていますが、木製樽が主流だった時代にはまだ製造技術の問題などから割れやすく、ワインを保存するべき容器としては機能性が不十分だったようです。

しかし、技術の進歩によって耐久性のある高品質なガラス瓶が製造されるようになり、輸送のしやすさや耐久性、ワインの品質維持などの観点から300年頃よりガラスボトルにワインが保存されるようになったと考えられています。

ワインボトルはガラス製なので、ワインへの影響は瓶口から入る空気中の酸素のみということで重宝されるようになりました。

その後、1500年代以降になるとさらにガラス製造の技術が進歩し、1600年頃に現在のようにワインの保存容器としてガラス瓶が広く使用されるようになります。

小分けにしたり販売しやすい、熟成させやすいなどの理由から、現在ではほとんどのワインがワイン瓶で保存されています。

ワインボトルのサイズについて


ワインボトル1本の基本サイズは、「750ml」です。

ワインショップをはじめとした売り場で見かけるワインのほとんどが、「750ml」であり、ワイナリーで保存されているワインも、「750ml」のボトルが使用されています。

しかし、ワインボトルにはさまざまなサイズがあり、さらに産地によって呼び名に違いがあります。

下記にて、ボルドーとシャンパーニュにおけるワインボトルサイズの呼び方をまとめました。

ボルドー

  • ボトルサイズ(187ml、200ml)→呼び名(キャール)※ボトル1/4本

  • ボトルサイズ(375ml)→呼び名(ドゥミ・ブテイユ)※ボトル1/2本

  • ボトルサイズ(750ml)→呼び名(ブテイユ)※ボトル1本

  • ボトルサイズ(1,500ml)→呼び名(マグナム)※ボトル2本

  • ボトルサイズ(2,250ml)→呼び名(マリー・ジャンヌ)※ボトル3本

  • ボトルサイズ(3,000ml)→呼び名(ダブル・マグナム)※ボトル4本

  • ボトルサイズ(4,500ml)→呼び名(ジェロボアム)※ボトル6本分

  • ボトルサイズ(6,000ml)→呼び名(アンぺリアル)※ボトル8本分

シャンパーニュ

  • ボトルサイズ(187ml、200ml)→呼び名(キャール)※ボトル1/4本

  • ボトルサイズ(375ml)→呼び名(ドゥミ・ブテイユ)※ボトル1/2本

  • ボトルサイズ(750ml)→呼び名(ブテイユ)※ボトル1本

  • ボトルサイズ(1,500ml)→呼び名(マグナム)※ボトル2本

  • ボトルサイズ(2,250ml)→呼び名(マリー・ジャンヌ)※ボトル3本

  • ボトルサイズ(3,000ml)→呼び名(ジェロボアム)※ボトル4本

  • ボトルサイズ(4,500ml)→呼び名(レオボアム)※ボトル6本分

  • ボトルサイズ(6,000ml)→呼び名(マチュザレム)※ボトル8本分

  • ボトルサイズ(9,000ml)→呼び名(サルマナザール)※ボトル12本分

  • ボトルサイズ(12,000ml)→呼び名(バルタザール)※ボトル16本分

さらに、ワインボトル24本分 18,000mlのサロモン、40本分 30,000mlメルキセデックなど、サイズによってこれだけ呼び名が違います。

全て覚えるのは困難かもしれませんが、サイズ感と呼び名をしっかりと紐づけるようにしておきましょう。

※ちなみにワインボトル1本が750mlなのは、フランスがイギリスとの貿易の際に、「ガロン」と呼ばれる単位が使用されていたことに由来します。

1ガロンが4.5lだったことから、計算する上で1本750mlにすることで計算しやすかったことが理由だそうです。

ワインボトルの種類


ワインボトルには、さまざまな種類があります。

それぞれ簡単に下記で解説していきましょう。

ボルドー型

ボルドー型は、いかり肩をしたワインボトルで、長期熟成した際に肩部分に澱が溜めやすい理由からボルドーで広く使用されるようになりました。

カベルネ・ソーヴィニヨンなど、タンニンが豊富なパワフルなブドウ品種のワインに使用されることが多い傾向です。

ブルゴーニュ型

ボルドー型と比較してなで肩の形状をしているのが、ブルゴーニュ型です。

熟成中に多く澱引きをするブルゴーニュの熟成スタイルから、なで肩の形状になっていると考えられています。

世界的には、ピノ・ノワールやブルゴーニュスタイルのワインに広く使用されています。

シャンパーニュ型

シャンパーニュ型は、スパークリングワインに使用されているワインボトルです。

非常に分厚く重厚感のあるガラス製ボトルで、炭酸の圧力にも耐えられるように設計されています。

アルザス型

アルザス型またはフルート型と呼ばれているワインボトルは、背が高くスリム、なで肩をしたワインボトルです。

フランスのアルザス地方で使用されているワインボトルで、リースリングやゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリなどで造られる白ワインに多く採用されている傾向です。

モーゼル型

モーゼル型は、細長く急な傾斜のなで肩の形状が特徴のワインボトルです。

ドイツワインは赤・白問わず、このタイプのワインボトルが多く使用されています。

ボックスボイテル・フランケン型

ドイツのフランケン地方を中心に、イタリアやポルトガルの一部で使用されている、半円状のワインボトルです。

厚みの薄さが特徴のワインボトルになります。

キャンティ型

イタリア トスカーナ州のキャンティに多く使用されているワインボトルがキャンティ型です。

丸みを帯びた形状のワインボトルに、藁が巻かれている特徴的なデザインのボトルです。

割れにくくする目的があり、伝統的なキャンティを造る生産者は今でも使用しています。

ワインボトルの色について


ワインボトルはサイズや種類もさまざまですが、色にも違いもあります。

黒、茶色、緑、薄緑、青、透明など、さまざまな色の容器が使用されていることに気がつくでしょう。

その中でも濃い茶色や緑色が多く使用されていますが、これは日光などの紫外線からワインを守るためです。

紫外線がワインボトルを透過するとワイン自体が化学反応を起こし、品質変化が生じてしまうことを防ぐ目的があります。

一方、白ワインの多くは早く消費されることを目的としているため、よりフレッシュで新鮮に見せるために薄緑色や透明のボトルに入れるといった理由があるようです。

ワインボトルからワインを知る


近年、日本ワインでも1本750mlのワインボトルを使用する生産者が増えていますが、「合」の単位が使用されていた歴史的背景から、今もなお4号分の1本720mlが主流です。

ワインボトルは、あくまでワインを保存するための容器ですが、一方で酸化熟成やワインの劣化を守るための工夫、歴史的な背景など、知れば知るほどユニークなワインの豆知識を得られる存在でもあります。

まずはワインボトルの種類やサイズ、色の意味の基本を押さえた上で深掘りしていってみてはいかがでしょうか。