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HAPPY TITLE/幸福選手権

好きなCDを、なんとなくその時々の思いつきで紹介します。
その第一回はKAN「HAPPY TITLE/幸福選手権」です。

KAN、と言っても今の若い人にはご存知無い方も多いでしょうか。
「愛は勝つ」でブレイクしてそして、表舞台からは消えていったある意味での「一発屋」と認識している人も多いと思いますが。
私の生まれ育った北海道では、地方ローカルのラジオ番組「アタック・ヤング」(STVラジオ)の日曜日のパーソナリティとしてブレイク前から番組を持っていたので、「ああ、KAN?"愛は勝つ"の人ね」と言われるのは、正直複雑な気持ちなのです。
「ちげーよ、KANにはもっと良い歌が一杯あるんだよ」と思ってしまいます。いや、本当にいい歌あるんだってば。

そんなわけで、KANがブレイクする前に発表した名盤、それが今回紹介する「HAPPY TITLE/幸福選手権」です。

Spotifyには配信されていないので、Apple Musicでどうぞ。

1曲目の「UNIT OF SOCIETY」から、多分「愛は勝つ」のイメージしかなかった人は良い意味で裏切られます。

そしておススメの名曲その1「REGRETS」。
英語で「後悔」を意味する、別れた彼女に対する後悔を、切々と歌った悲しいラブソングです。男は女と別れて後悔する生き物と言いますが、本当に、好きで好きで、大好きだった女の子に対して言いそびれていたこと、隠していたこと、してあげたかったこと、、、沢山の後悔が、どんどん湧き上がってくるんですよね。そんな気持ちを抱いた事のある人には刺さる名曲です。

今更遅いけど、大声で笑っていても、何かに怒っていても君はもういない

胸に詰まる歌詞です。

おススメの名曲その2「FOREIGNER」(異邦人)
この歌はKANをそこそこ知ってる人でも、それほど有名じゃないような気がしますが、個人的にはとても強く共感した歌でした。

好きな人がいる。強く想う人がいる。自分の事を理解してくれる良き異性の友人として、良好な関係で、お互い分かりあえていたと思っていた。
だけどそんな君に、この恋する気持ちをさらけ出した途端、相手が自分との距離を途端に遠ざけていく。そんな瞬間。
自分の気持ちが、想いが相手に通じない、届かない。
そんな絶望的な男と女の気持ちのすれ違い、断絶、勘違いの痛み。

本当の僕をもっとわかってくれるはずの 君が泣き出した
(中略)
同じ言葉を使っても通じない世界見えてくる
そして今日出会う人もまた FOREIGNER

人がいっぱい溢れかえってる街の中で、たった一人に、同じ言葉を使っているはずの君に、自分の気持ちが、言葉が届かない。むしろ伝えれば伝えるほど、遠ざかっていく。そんな苦い恋愛と失恋をするたびに、うつろに夜の街を一人で歩きながら、この歌を泣きそうになりながら歌っていました。
嗚呼、、、昔の恋の苦さは、今でも鋭利に心に刺さりますね(苦笑)

そして最後の、そしてこれこそがKANの最大の名曲にして代表曲として、聴き継がれていってほしいと心の底から願う、名曲中の名曲。
それが「東京ライフ」です。

君がいるからさ Living through a TOKYO LIFE

北海道を離れ、東京で暮らし、そこで人生でおそらく一番激しい恋をしたあの頃。この歌は、地方出身で決して恵まれた状況じゃない環境の中で、日々懸命に仕事をして、東京という街の中でもがき続けていた自分にとっては、一種のアンセムであり。そして、そういう個人的な経験を抜きにしても、日本の歌謡史に残る名曲中の名曲です。

似たような曲に、くるりの「東京」がありますが、あれも名曲ですけどね。「東京ライフ」の歌詞、世界観、無常観はそれを遥かに上回る名曲です。
俺が20代を東京で過ごした時代を思いだすと、この曲と、椎名林檎の「正しい街」の2曲がありありとBGMとして流れてきます。
もう30年近く前の曲なのに、今聴いても全く古びれたところのない、普遍性をもったラブソングの大傑作です。

いくら好きでも 信じあっていても それぞれ言い分はあり
小さなことをほっておけなくて 大事なもの見失う

KANは「愛は勝つ」しかしらないって人にこそ聴いてほしい。
そして東京という大都会の中で、懸命に、必死に生きているすべての人に聴いてほしい心に残る名曲です。



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