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SNS事業者の遅すぎるネットリンチ対応

昨日、このようなニュースな報じられました。

はっきり言いますが、ここまで来るのに何もかもが遅すぎたと思います。
まず、事業者団体ですが、「ソーシャルメディア利用環境整備機構」(以下SMAJ)の設立が発表されたのは今年の4月24日です。それまでSNSの環境整備に取り組む団体は存在していなかったのです。

予てから放送業界におけるBPO(放送倫理・番組向上機構)のような機関がネットにも必要であると常々感じていました。放送業界においてBPOの下した判断は強い効力を持っており、「最高裁の判断と同等」とまで言われています。BPOがある種の強権的な力を持って監視することにより、放送による人権侵害は防がれています。ネット上の言説においても、BPOと同等の権限を持ち人権侵害を取り締まる機関を設置することが、炎上・ネットリンチを無くす為には必要不可欠であると考えていました。

漸くその役目を担ってくれそうな団体が設立されたことに、一報を受けた際は喜んだのですが、ネットニュースの記事にはこのように書かれていました。

・児童の性被害や過った情報の拡散などSNS上の課題解決に取り組む。
・SNS上での児童被害やいじめ防止、違法・有害コンテンツなどのさまざまな課題に対して、業界を挙げて安定的に継続して対応する。

(引用元: https://webtan.impress.co.jp/n/2020/04/27/35880  )

明らかに私の望んでいたもの、期待していたものとは異なるもので正直失望しました。勿論ネット・SNSにおける児童被害を無くしていくことも大切な事ですが、ネット社会の問題はそれだけではありません。
何故炎上・ネットリンチが常態化している問題には目を向けないのか。毎日のように何処かで炎上が発生し、誰かが傷つけられているのに、どうしてそれらが平気で野放しにされているのか。漸くこの現状を変えてくれそうな団体が設立されたと思ったのに、向いている方向が全く違うらしいことに落胆しました。

ところが先日、SNSで誹謗中傷を受け自殺したという木村花さんのニュースが報じられた途端、SMAJは冒頭に紹介したような声明を発表した訳です。
果たしてこれは団体設立当初から視野に入れられていた事なのか。それともネットリンチによる死者が出たことに思いのほか世論の声が大きかったから慌てて出した声明なのか。
今回の事件を受けて法改正に向け動き出した政府の対応も然りですが、現状を変えられる力を持つ人達はあまりにも腰が重すぎます。毎日毎日醜悪なネット叩きという人権侵害が至る所で起こっているのに見て見ぬふりをし続けて、人が死んで世間が騒ぎ出したら漸く動き出す。
もう7年近くも炎上批判を続けてきて、「炎上は駄目。ネットリンチの無い社会を目指すべき」と訴え続けてきた筆者としては、「いい加減にしろ」と叫びたい思いです。

とはいえやっと、炎上・ネットリンチのない社会への大きな一歩が踏み出されたと安堵しています。実は筆者は声明発表の3日前に、SMAJに要望を出そうと署名活動を開始していました。

http://chng.it/ZyvrQ8JRNR

図らずも署名を提出する前に要望が叶う形となったのですが、此処まで動こうとしなかった事とこのタイミングでの声明発表には手放しで喜べないという思いも正直あります。今回あまりにも世間の声が大きかったから、「とりあえず何かしらの対応をしますよ」という意図で出された「事務的な」声明ではないだろうか、という疑念が残っているのです。

漸く風向きが変わり始めた、やっと社会が良い方向へと動き出したと感じています。しかし只それを喜んで変わっていくのを期待して、他人任せにして待ち続けるつもりはありません。
SMAJをはじめとする関係各機関、専門家、議員、公的機関などに対する働きかけを今後も積極的に行っていきたいと思います。

お知らせ:
炎上考察サークルを開設しております。
https://note.com/machizo/n/n226f56fea955

有料(月額¥100)となりますが、炎上・ネットリンチのない社会にする為の各種活動を行うにあたり、多くの方に意見を伺いたく、サークルを設立いたしました。
頂きました会費は、活動資金および今後同目的で設立予定の任意団体の資金に充てさせて頂きます。

現在会員数0名です(^_^;)皆様のご参加をお待ちしております。

※「みんなのフォトギャラリー」から、Meg Takanoさんの作品を使用させて頂きました。ありがとうございました。


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