簡単はやめられない

私は友人達へ、オタクを卒業すること、それに従い友人達との身内関係を解消し連絡先を削除することを旨を記しメルマガを送信しました。当時私の身内は20人程いましたが実際に会ったことのある友人数名は、ノミちゃんがオタクを辞めても友達でいようと言ってくれ、その好意に甘えてそのまま友人関係を続けさせてもらうことにしました。身内の過半数を占めていた実際に会ったことのない友人達からの連絡はほぼなく、そのまま関係を解消された訳ですが、なぜかBちゃんだけはオタクを辞めても友人関係を続けたいと思い、その事を個人的に伝えると快く承諾してくれました。しかし私のオタク卒業はBちゃんと身内関係になってから1週間も経っていない時の出来事で、もちろん会ったこともなかったのです。

それから1年半程、私はオタクをしない生活をしていました。オタクを卒業した時に関係を続行してくれた友人達の中の数名とはまだ仲が良く、頻繁に連絡は取り合っていたのですが、テレビにアイドルが出ていればボーッと流し見する程度で友人達のオタク事情を聞いても、へぇ〜っと思うだけでした。

四六時中考えていたアイドルへの関心がなぜここまでも薄れていたのか、それはオタクとして熱量を注ぐ矛先が新たにあったからなのです。当時の私は高校生になりアルバイトを始めたことで使えるお金の幅が広がったことから、サンリオキャラクターにどハマりしていていました。毎週のようにサンリオショップに通い詰め、新しいグッズが発売される度に全てを購入してはコレクションをする、所謂サンリオオタクです。1年半前にぽっかり空いたオタクの穴はジャンルは違えど、またしてもオタクで埋めていたのです。

一度好きになったらそのことをとことん追い続けるという根本的な私のオタク気質は矛先を変えて尚、健在していました。

そんなサンリオへ熱と愛をを注いでいるある日、Cちゃんからアイドルの舞台についてきてほしいとの連絡が。Cちゃんは何度かコンサート会場で会ったことがあり、私がアイドルオタクを卒業してからも頻繁に連絡を取り合っていた友人の1人です。話を聞くと、数ヶ月前まではデビューしているグループが好きだったものの、ここ最近はデビューをしていない子にハマっているとのこと。その推しくんが出演する舞台に行きたいのだけど周りで好きな子がおらず、ノミちゃんが推した子も出演するからお願い!と頼まれたのです。確かに興味がない子に付き合ってもらうのは気が引けるのは分かるし、せっかくCちゃんに会える機会だしなぁと思い、私は誘いに乗ることにしました。早速OKの返事をすると、Cちゃんは断られること前提だったようでかなりびっくりした様子でしたが、舞台の2部はコンサートだから団扇作ってきてね!とかなりのテンションで念押ししてきたので舞台観劇前夜に渋々団扇を作り会場へ向かうことにしました。

そして私は会場で再びあの黄色い歓声を肌で感じることになるのです。

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