問題2. クラフトビールとマイクロブリュワリーの違いは何?
今回は少しコアな、アメリカでの"クラフトビール"という言葉が生まれた話。
アメリカでは、写真のようなマークが”クラフトビール”である証となっている。このマークがないと、正式なクラフトビールとは認められないということだ。
日本では発泡酒とビールで区別するが、そんな感じだろう。
アメリカでクラフトビールが始まった頃はそもそも”クラフトビール”という言葉は存在していなかった。その代わりに、僕らはそのビールを作る醸造所のことを”マイクロブリュワリー”と、呼んでいた。
マイクロブリュワリー.......その名の通り ( micro:マイクロ ⇄ macro:マクロ) 小さい醸造所を意味している。
初めはなかなか人々の口に行き届かなかったし、僕にとっても少し高価だったため初めは躊躇した。
でも「バドワイザーなどの大手ビール会社より、ホップのフレーバーやモルトの味わいが高い」
という評判が広まっていたのは、確かだった。
マイクロブリュワリーが各地に広まり始め、僕らはマイクロブリュワリーで作られるビールのことを”クラフトビール”と呼び方を変えた。
そこには、「クラフト=ものづくり」という精神が見られたからだと思う。
そうして、”クラフトビール”は”マイクロブリュワリー”という言葉に取って代わるように人々の間で使われるようになった。
現在”クラフトビール”というフレーズは、どこでも見られる一般的な言葉として使われるようになっている。
アメリカのBrewers Association ( 醸造者団体 ) によれば、「醸造量年間180万リットル以下」且つ「大手企業によって経営されていない」ことがクラフトビール醸造所として認められる。
(180万リットルって、かなりアメリカサイズだ!笑)
アメリカでは、よく ”クラフトビール” という言葉を巡って討論が行われている。なぜなら、大手ビール会社が小さい醸造所を買収し、僕たちがクラフトビールと呼んでいるビールはしばしば理論上クラフトビールではないから。
それらのビールは、ビールファンたちの間では、” Crafty : クラフトチックな ”ビールと呼ばれている。(なんだか少しトリッキーにさえ感じる)
あなたに、もしアメリカを旅する機会があって、小さなクラフトビール醸造所を探したいなら、ぜひクラフトビールの証であるこのマークを探してみてほしい。
僕個人的には、そのマークのあるクラフトビールを飲む傾向にあるが、実際のところ多くの人とってそんなことはどうでもよく、大事なのは味だろうな。。。
そういう僕は、別にみんながどんなビールを楽しんでいようと構わないのだが。。。
ただ、一緒にビールを飲んでくれて、おしゃべりを盛り上がることができるばなんだって幸せな時間だよ。
文 Ben Emrich / Head Brewer
訳 金子 巧 / Brewer & PR