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片思い#6

きれいなままで終えることができる恋があるとすれば、それは、片思いだ。

一通の返信をひたすら待ったり、ドキドキしたり。

アラサー以上は「センター問い合わせ」を何度もした時期があったのではないだろうか。

しかし、片思いは一人でうっとりするにはいいが、別の角度から物語の全容を知ると見え方が変わる。

高校時代、つかずはなれずいつもはぐらかされていた好きだった男の子とのあの距離感は、切なく甘酸っぱい私の大事な思い出だった。

が、いつぞやの飲み会で、あの子が好きだったのは自分の親友が好きだったと知った時、甘酸っぱい感覚が消えた。

ああ、だからあの距離感が必要だったわけね、と。

納得したのだ。

片思いは、自分で大事に持っている分には、基本的に壊れない。

相手に好きな人がいようが、相手に恋人がいようが、既婚だろうが。

関わること、知ること、事実を受け入れることから逃げていると、完璧に自分の組み立てた世界の中だけでいられる。

だからこそ美しく、だからこそ、発展しない。

片思いにうっとりしている暇があれば、思いを伝える方法を考え、相手の唇を奪う作戦を練るべきなのだ。

実践なくして、恋の成就は得られない。

片思いは、自己完結の恋なのだ。

何年も片思いをして思い出を大事にするよりも、失恋の方が、価値がある。

それをはき違えていては、王子様もお姫様もやってこない。

思うだけ、に価値は、ない。


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