雑記 ─理想と現実─

 NHK「こころの時代」の西田好子さんの回を観た。西田さんは西成で牧師をしながら、路上生活者の援助をしている。番組では生い立ちからその時々の心情について語られる。
 彼女は終始明るく話していた。だが時々涙を滲ませながら教師時代の挫折を話す場面も。教師を辞めて後、講師になるも思い通りにならない日々。そうした時にキリスト教と路上生活者に出会う。私は石川淳の『焼け跡のキリスト』を思い出した。番組の内容にこれ以上ふれない。後は観てもらったらいい。
 生活の一切を投げ出して路上生活者のために働く。これは容易な事ではない。行動に移せるのはごく少数だ。

 続いて「映像の世紀」を視聴。安保闘争について。理想を掲げた若者が国家権力の前に挫折する物語だ。挫折した若者はやがて社会という現実に順応していく。

 話の全く異なる西田さんと安保闘争。だがどちらにも理想と現実がある。西田さんは一人で(仲間もいるが行動を始めたのは一人である)、安保は集団で。ここに一人の強さと集団の弱さを見た。
 理想は厳しく現実は生易しい。皆がそれぞれ理想を持ちながら現実に甘んじているのはそういうことなのかもしれない。私自身そうである。

 それでは、また。
 
 
 

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