余命365か月/二〇二四年五月
五月十三日(月) 雨のち曇り
エントランス勤務中にまとまった雨が降ったのはいつ振りだろう。すっかり茂った青葉を打つその雨音は、胸の奥深くに染み込み優しさだった。今日もこの一年を振り返った。ドアマンは返す返すいい仕事だった。そう思いつつ離れられるのが嬉しかった。そして、六月末に転職したらたっぷりテニスができるという喜びが、じわじわと込み上げてきた。樹々の葉の表から水分が蒸散する様子を思い浮かべながら。
仕事が終わって、朝比奈さんが迎えに来てくれた。帰って超特急で着替えてテ