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【コオロギを愛でる。】〜映画『ラストエンペラー』・『こころの湯』のこと。。〜              

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渓流釣りの生餌として、コオロギを飼い出してから今日で3日目。毎日、美しい鳴き声を楽しませてくれる。とくに中秋の晩、その音を聴きながら「加賀の月」ひやおろしで一杯飲ったが、なかなか風情がでた。そういえば小学生の頃、コオロギを飼い卵で越冬させ、春に孵化させたこともあったっけ。私はいつから、コオロギを愛でることをやめてしまったのだろう?

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ハナシは変わるが、映画『ラストエンペラー』(1987、ベルトリッチ監督)の印象的なコオロギのラストシーンが忘れられない。清国最後の皇帝、愛新覚羅溥儀(あいしんかぐらふぎ)の生涯を描いた作品だが、ベルトリッチは長いあいだ閉じ込められたコオロギが外に出る姿に、溥儀の真の解放を重ね合わせた。紫禁城から天津の租界地・日本統治下の満州国・共産党中国の収容所と、溥儀はその半生をほとんど幽閉されて過ごした。映画のラストシーン、かつての紫禁城の変わり果てた姿を目にした時に、初めて溥儀はすべての束縛から自由になった。その象徴が、小籠から這い出てきたコオロギであったろう。

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また、中国映画『こころの湯』(1999、張楊 監督)では、蟋蟀(コオロギ)を闘わせる「闘蟋」が映画の重要なメタファーとなっている。経済成長一辺倒の現代中国において、破壊され失われゆく伝統文化と風土。加えて、人情味溢れる胡同(フートン)の庶民の暮らしの象徴として、コオロギはこの映画でも登場する。そもそも「闘蟋」は中国の宮廷において、コオロギを飼って闘わせる遊びであった。その後、庶民に伝わり賭け事にまで発展し、唐代から1200年を経た現代中国でもいまなお「闘蟋」は地方においてギャンブルとして行われていると云う。

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秋の夜長、TVやオーディオを消してコオロギの音を愛でる愉しさ。これも私がここ大杉に移住し、取り戻したことのひとつである。

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