『夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について』続き
「私はあなたのことを青空を覆う雨雲くらい愛しているわ。」少女はそう言った。
少年は少し驚いた顔をした。少年にとって、自分たちの見えている世界はあまりにも遠く違うものに感じられてしまったからだ。
少年は慎重に彼女の話の続きを待つ。
「私は晴れた日が好き。太陽が世界を眩しく照らし水滴がきらきらと輝く、そんな晴れの日が好き。
釣られて私の気持ちも明るい晴れたものになるの。
心の底からじわじわと暖かさが広がって、微風が少しくすぐったいような、まるで優しさが世界を包むことを願わず