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アンドリュー・ワイエス作品集

こんにちは。mikaです。

早いもので、もう今年も半分終わりましたね。
昨日の夕方、すでに6月が終わっていたことにやっと気づきました。

そう。間に合わなかったんです。
参加させていただいているメンバーシップ「オトナの美術研究会」の企画「月イチお題note」に。

6月のお題は「おすすめの美術図書」でした。
間に合わなかったものの、せっかく途中まで書いていたので、7月になってしまいましたが「最後まで書いちゃえ!」と勢いにまかせて書いてみます。


美術図書といってもいろいろありますが、わたしの大好きな画家、アンドリュー・ワイエスの作品集について書いてみました。


アンドリュー・ワイエスはアメリカの画家です。

ワイエスはこどもの頃、病弱だったこともあり学校へは通わず、イラストレーターであり画家でもある父、N.C.ワイエスから絵を教わっていたとのこと。

ワイエスは「テンペラ」という技法を好んで描いていますが、この技法だと油彩と比べて細かい描写ができたり繊細な質感が出たりするようです。

ワイエスの絵の繊細な雰囲気はこの技法が大きく関係しているんだろうなと感じます。

わたしは技法に詳しくありませんので、テンペラについて気になった方はぜひ下記のリンク先を覗いてみてください。


わたしがワイエスの絵に出会ったのは、中学生のときです。

美術の教科書に載っていた「アルヴァロとクリスティーナ」(記憶があいまいですが、たぶんこの作品だったと思う…)に惹かれました。

説明が下手でうまく伝えられないのですが、わたしがワイエスの絵を素晴らしいと思うのは、緻密な描写はもちろん、寂しさや厳しさの中にも温かみを感じられるところです。

そして、その場の空気や動きと「不在」を感じられるところです。

ワイエスの絵には、目には見えないものが「のっている」感じがするんですよね。


「海からの風」と「クリスティーナ・オルソン」からは、風の動きと温度を感じることができます。

「海からの風」
なんとなくカラッとした強い風が吹いていそう。

「クリスティーナ・オルソン」
光の射し込む感じと髪の動きから、
爽やかな風が吹いているんだろうなと思わせる。

クリスティーナは、ワイエスがモデルとして数多く描いた人物です。

ワイエスの作品では「クリスティーナの世界」が有名ですが、
わたしはこの「クリスティーナ・オルソン」という作品が好きです。


「クリスティーナ・オルソン」では、明るい光と爽やかな風が感じられるにもかかわらず、なぜかクリスティーナが寂しそうで。
彼女が何を思っているのかはわかりませんが、どことなく疲れたような表情にも見えます。

ワイエスはこのとき、戸口に座る彼女を見て「傷ついたカモメ」を連想したのだとか。


「スコール」
外には暗い雲がかかっていて雨が降りそう。
自然の厳しさも感じられます。

本書にも書かれていますが、「スコール」では妻ベッツィのレインコートと双眼鏡を描くことで、ベッツィがそこにはいないことを表しているそうです。

そこに描かれているものではなく、「そこにないもの」の存在を感じることができる作品です。

ワイエスの作品には、「特別な日の特別な何か」ではなく、すぐそばにある「日々の暮らし」が強く描かれているように感じます。

そこにはリアリティがあり、現実の厳しさや日々の中にある美しさが描かれています。
そして、それらを丁寧に描いているワイエスは、そこに暮らす人物や風景や土地を愛していたんだなと感じます。

決して派手さはありませんが、わたしが疲れたときに心を休めてくれる素敵な作品集です。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

今はサポート不要です。もし必要なときがあればお願いするかもしれません。その時にはよろしくお願いします。