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幼稚園の頃、砂場でお山を踏み潰した男の子が初恋だった話。

ドS男児に惚れた話ではありません。
そっちの方が面白いかもしれないけど、そうじゃない話。

私の初恋は幼稚園の時だった。

当時の私の性格は
リーダータイプでもないし
引っ込み思案でもない。
乱暴ものでもないし、
これといって特筆するようなことがない
普通の子供だったと思う。

その日は同じ組のクラスメイト数人と一緒に
砂場でお山を作っていた。
大きいお山を作ろう!」とその中の誰かが言い出して
砂場にいるメンバーが盛り上がりだした。
すると、だんだんと砂場の山にクラスメイトが集まりだした。

真ん中の砂山に、みな思い思いに砂をかける。
山は長細く高くなり、クリスマスツリーのような形になっていった。

すると山を取り囲んで座っているクラスメイトの顔の間から
ぬっ」っと足が現れた。
その足はそのまま、細長い山の尖った山頂を踏み潰した

山づくりをしていたクラスメイトはみんな
呆気にとられたままだった。

その足の主はクラスで一番影響力のある男の子。
オオタケくんだった。
けして乱暴者だったり意地悪なタイプではない
まっとうなタイプのリーダータイプの子だった。

オオタケくんは私たちが作っていた
細長い山の山頂を踏み潰しながら言った。

「デカい山を作るなら下の方を広くしないとダメなんだ」

その時、私の脳内にとてつもない衝撃が走った。

「そうなの⁉︎」
「なんでそんなこと知ってるの⁉︎」
「頭いい‼︎」「カッコイイ‼︎」
「好き…!」

オオタケくんといつも一緒に居たナントカくん(忘れた)が
地ならしを手伝い、裾野が広がったところで一気に
みんなで砂を盛り始めた。

遊びの時間が終わる頃には砂場の三分の一くらいの大きさの
富士山の形に似た山ができあがっていた。

その山は数日間は他のクラスの子も壊すことがなく
砂場に大きい山が見えることがちょっと誇らしかった。

そんなオオタケくんだったので
クラスメイトの女子からは大変人気だった。
オオタケくんと同じ団地に住む
エリコちゃんとサトコちゃんは特にオオタケくんと仲良しで
羨ましかったのを覚えている。

すでにバレンタインデーの存在を知っていた私は
母に頼んでオオタケくんに渡す用のチョコレートを買ってもらった。

不二家のハートチョコレートと言って
ハート形のチョコレートにピーナツが入っているものだった。
家の形を逆さまにしたような、赤いパッケージに入った20円くらいの
チョコレートだったと思う。

バレンタインデーに渡せるように数日前に購入してもらった。

ところで、当時私は祖母と住んでいた。
祖母と父母姉私の5人家族。
我が家に置いてあるお菓子は基本、祖母の好みのものしかなかった。
黒いかりんとう。
茶色い歌舞伎揚。
白っぽいソフトサラダ。

一応、子供に寄せたものとしては
ブルボンのお菓子。
ギンビスのアスパラガス。
オールレーズン。
たべっ子どうぶつ。

自分の手元にある、
可愛い赤いパッケージの
ピーナツ入りのチョコレート。

気がついたら包装を破いて食べてしまっていた。

だってレア中のレアだったんだよ!
チョコレートなんて滅多に食べられなかったんだから!

オオタケェ?知らねえなあそんな奴ぁ

恋で幼児の腹は膨れねえんだよ!!


と、私の初恋物語はここで終わるが、
オオタケくんは私の心に「癖(へき)」を残していった。

足フェチとか踏みつけフェチではない。
そっちのが面白いかもしれないけど。

「新しい価値観に触れた瞬間の快感」です。

と同時に「土台、基礎の大事さ」を植え付けられた。


こっから急に話の展開変わります。
青汁のCMみたいですみませんね。


「土台」の話。

私は一応、今は漫画でなんとか生計を立ててるけれど
昔は会社員をしてた。
漫画家志望しながらの会社員ではなく
ただの会社員。

中学の時に漫画家になりたいな〜なんて言って
イラストを描いたりしたこともあったけどそんなの無理じゃんって思って
大人になって就職して会社員になった。

時期的にインターネットが一般に普及したした頃で
個人が自分のホームページを作っていた時代。

ネットのおかげで中学生の頃のオタクが再燃した私。
『テニスの王子様』にどっぷりハマり
毎週、ジャンプの感想とアニメの感想を
ホームページにあげるのが生き甲斐の人になった。

そこからテニプリ同人誌→オリジナルBL→BL漫画家 現在に至る。

なので「好きな作品の感想を語りたい放題語る」のが
自分の創作の原点なんだ。
このリビドーこそが自分の漫画の土台だったというのに
ここ数年、それを忘れていた。

時代の流れと運の良さでなんとか漫画家デビューしたものの
何しろ「基礎」がない。
「思い」「形」にする技術がない。

幼い頃から漫画家目指して一筋という生活を
してこなかった人間だしそれは仕方がない。
技術がないなら習えばいい。
幸いインターネット時代なので学ぶには事欠かなかった。

学ぶのは楽しい。
何しろ初恋で刻まれた癖(へき)だ。

「新しい価値観に触れた瞬間の快感」

これは何物にも代えがたい。
元の知識がないから、何を知っても楽しい。
しかも大事な「土台」だ。

でもこの「うっとり」させる感覚は
たまに目的を見失わせる。

知識というのは際限なく転がってる。
何をどこまで理解したらいいのかわからなくなってくる。

「思い」「形」にするための技術さえあれば良かったのに
だんだん技術のみを求めるようになってくる。

技術を磨こう、知識を身につけよう。

そんなことに躍起になっていたら
そもそも自分が何を思っていたのか」が見えなくなってきてた。

本末転倒。
こうなってくると「自分」が機能不全を起こす。
ストレスや足りない技術を補うのに睡眠を犠牲にしたおかげで
そして本当に本当の「人間の土台」が蝕まれる。
ちょっと病気になった。

もう治療は終え回復はしたけども。

私ってほんとバカ。
順番が違う。

まずは生理的欲求をという土台こそ死守しなきゃ
高い山はできないんだ。
こんな感じ。

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まずは体力の回復。

そして再び、私ってほんとバカ。
また間違えて「形」にする技術
取り掛かってしまった。

絵は描くけど漫画を描く気力がグッと集まってこない。
自分としては何か頑張ってるつもりなのに
何かエンジンがかからない。

「思い」「形」にする』の
思い」の方が何かに覆われてしまっていた。

それでも仕事をしないと生活が立ち行かくなる。
脳内には入れた知識が働きどころがなく所在なさげにふわふわしてる。
ふわふわしてるウチはいいけど使わないものから消えていく。

なんとかせなー。

そう思っていた時に始まったのが『MIU404』


う”う”う”う”う”

最高でえええす!!

胸が!

高鳴りすぎて!

胸筋でワイシャツのボタンが弾けるかのごとく
「思い」を感じる機能を覆ってた何かがバァンと弾けた。


もう、今は仕事とかいい。のちのち役に立てるから。
これをやらなければどうせなにも生み出せやしない。
だって私の創作の原点は
好きな作品の感想をひたすら書くことだから!!
このリビドーが土台だから!

ときめきが!止まらないんだよ!
恋か!
今さら恋ダンスとか覚えて踊っちゃうか!


私は今、幸せです。
『MIU404』のおかげでだいぶ
感性とか感情とか直感とかそういったものが生き返ってきた。

よし!寝る!

#MIU404

#日記


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