『知らない人んち(仮)』 第二話

◯暗室前の廊下
   ドアが中からドンドンと叩かれている。
   ドアの前にはきいろ。
   手にはカメラを持っている。
   撮影をしながらドアを開ける。
   中から刑事(濱津)が必死の形相で飛び出してくる。
刑事「ちょっと待ってくださいよ、なんで閉めるんですか!焦ったなぁもう」
きいろ「私もここに何日か監禁されていました」
刑事「そうなんですね…。って、これも撮ってるんですか? ちょっとカメラを止めてくださいよ」
きいろ「えっ、いいんですか?」
刑事「えっ?も、もちろん。と、とにかく、話の続きはまたリビングで聞かせてください。閉じ込められたら困っちゃうし」
   暗室を後にするきいろと刑事。

◯リビング・ダイニング
   ダイニングテーブルに向かい合って座るきいろと刑事。
刑事「じゃあ、続きを聞かせてください。で、その3人は何者なんですか? ニゲテのメッセージは誰が書いたんですか?」
きいろ「3人・・・。メッセージは、3人のうちの1人が書いたものでした。その人は私と同じで、この家に監禁されていたんです・・・」

   × × ×

◯女子部屋
   ベットの下のカメラ。
   男女の足が映っている。
アクの声「余計なことは言ってないだろうな?」
キャンの声「何も言ってない。知ってるくせに。どうせ見てたんでしょ?」
アクの声「まぁね」
   アク、しゃがみこんでベットの下のカメラを確認する。
アク「バカなことを考えるなよ。言う通りにすれば開放するから」
   カメラのチェックを終えて、部屋から出て行くアク。
   座り込むキャン。
キャン「嘘つき・・・・」
   涙を浮かべるキャン。

◯男子部屋
   パソコンに向かっているアク。
   そのアクに後ろから抱きついているジェミ。
ジェミ「なに?心の病気って」
   笑うジェミ。
アク「その方が何かと都合がいいんだよ」
ジェミ「ねぇ、さっさと終わらせましょ。きいろと一緒の家にいるって思うだけで頭がおかしくなりそう!」
アク「まぁ、待てよ。どれだけ準備してきたと思ってるんだ。やるなら証拠を残さないようにしなきゃな」
ジェミ「分かった・・・。早くしてね」
アク「それよりあの絵は?」
ジェミ「見てた」
アク「どうだった?」
ジェミ「覚えてないみたいだった・・・」
アク「そうか・・・」

   × × ×

◯リビング・ダイニング
   向かい合って座っているきいろと刑事。
刑事「で、その絵というのは?」
きいろ「はじめは分からなかったんですが、思い出しました。あれは私が書いたものです」
刑事「その絵にはどういう意味が・・・?」
きいろ「あの絵に描かれているのは、私の家族と、当時兄弟のように育った近所の男の子たちです」
刑事「男の子たち?」
きいろ「はい。ずいぶん変わってたから気付きませんでした・・・」
   刑事、きいろの顔をじっと見つめる。
きいろ「ジェミは、男の子です」
刑事「えっ?!」
   きいろと刑事、じっと見つめ合う。

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〜今後のあらすじ〜

これまでの話は、きいろがリビングで刑事に話をしていた回想シーンだった。
しかもその回想は、きいろが星座表や杖、三輪車など家にあるものを見てとっさに作った作り話で、刑事を騙すためにつかれた嘘。

実際は、この家はきいろの不倫相手の家で、その家に乗り込んだきいろは、
不倫相手の一家を皆殺しにした(?)。(まだ閉じ込められているかも?)
「近所で怪しい物音がした」との通報を受けて現場に向かった刑事。
その家のリビングに一人座っていたきいろに刑事は話を聞くことになったのだが・・・

きいろにとってこの家は、“知ってる人んち”だった。

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