『パスワードが間違っています』 #テレ東ドラマシナリオ


〜あらすじ〜
サキ(28)はPCの前で焦っていた。mixiのパスワードが思い出せない。
結婚を前に高校時代の黒歴史を消し去りたい。
サキは、親友の志織に相談する。
少しずつ思い出される当時の記憶。
キーワードになりそうなのが、「mixiって招待制だったよね」の一言。
誰に招待されたんだっけ?きっと当時の彼氏だ・・・。となると・・・。
サキは、高校時代の彼氏、「慎二」「俊也」「恭一郎」の誕生日を思い出すため、当時の“足あと”をたどっていく。

ーーーー

◯LINEの画面
   サキがスマホを見ている。
志織のメッセージ「サキ、結婚するんだって?!おめでとう〜!」
   サキ、ありがとうのスタンプを送る。
サキのメッセージ「今ちょっと電話できる?」
   OKのスタンプ。

◯サキの部屋(夜)
   パジャマ姿のサキがパソコンの前に座って電話をしている。
サキ「ごめんね、急に。あ、ありがとう。そう、実はそのことでちょっと聞きたいことがあってさ・・・」

◯志織の部屋(夜)
   ベッドに寝転がりながら電話をしている志織。
志織「高校の時の黒歴史?笑 確かに。出来れば消しときたいよね〜笑」
   ベッドから起き上がる志織。
志織「mixi?あったね〜!なついんですけど笑 そうそう、書いてたわ日記。写真?載せてたね〜笑 サキのもあるはず」

◯サキの部屋(夜)
   パソコンの画面をじっと見ているサキ。
サキ「それがさ…」
   パソコン画面。

◯タイトル『パスワードが間違っています』

◯志織の部屋(夜)
   ベッドに寝転がり、足をバタバタさせている志織。
志織「知らないよ、あんたのパスワードなんて笑」
   ベッドの上でパソコンを開いている。
志織「ちょ〜久しぶりにmixi開いた。わっ!スカート短っ!てか、顔黒っ!こりゃ黒歴史だわ」

◯サキの部屋(夜)
   机に突っ伏しているサキ。
サキ「上手いこと言わなくていいから・・・。パスワード・・・」
志織の声「あ、思い出した!」
サキ「えっ!まじで?!なになに?」
   勢いよく体を起こすサキ。
志織の声「いや、パスワードじゃないんだけどさ」
サキ「なんだよ〜」
   サキ、再び机に突っ伏す。
志織の声「パスワードじゃないんだけどさ、mixiって招待制じゃなかった?」
サキ「えっ?あぁ、そういえば、そうだったかも!そもそも誰に招待されたんだ・・・」
志織の声「そりゃあ、あんたのことだし、そん時の彼氏でしょ〜」
サキ「ってことは・・・慎二、俊也、恭一郎さんか・・・」
志織の声「その時のノリで彼氏の誕生日とかにしたんじゃない?」
サキ「あり得る・・・。あり得るけど、誕生日なんて誰一人覚えていないよ・・・」
志織の声「まじで?あんたそれやばくない? てか、一緒にプレゼント買いに行ったりしたよね?」
サキ「あぁ〜、したかも・・・。でも、いつも付き合ってもらってたから、どれが誰だか・・・」
志織の声「あんた、よく結婚できたな・・・」
   パソコンを閉じるサキ。

T「足あと:慎二」

   × × × (以下、回想)

◯清澄高校・外観
   桜並木を生徒たちが学校へと入っていく。
サキN「高校の時に付き合ったのは慎二と俊也と恭一郎さんの3人。一番初めが慎二だった」

◯同・教室
   学校では学園祭が行われている。
   各居室ではそれぞれの出し物をやっていて、
   廊下は生徒で溢れかえっている。
サキN「慎二と話すようになったのは、確か一年の学園祭の時から」

◯同・校舎内・階段
   サキと志織がしゃべりながら階段を降りている。
   サキの手には買ったばかりのじゃがバター。
サキ「志織、さっき先輩と話してた時、顔真っ赤だったよ笑」
志織「ちょっ、や、やめてよ、もう!」
   志織、サキの肩をパンとはたく。
サキ「わっ!」
   志織にはたかれた勢いで、サキの持っていたじゃがバターが皿から転がり落ちる。
サキ「あぁ〜!!」
   目の前には階段を上がってきていた慎二。
   慎二、とっさに素手でじゃがバターをキャッチする。
慎二「熱っ!」
   慎二、キャッチしたじゃがバターをすぐにサキの持っていた皿に戻す。
サキ「あっ」
   慎二、そのまま階段を上がって行ってしまう。
   サキ、皿のじゃがバターをじっと見る。
   バターが無くなっている。
サキ「バター・・・」
   階段を上がる慎二、手のひらに付いたバターに気付く。
   下をちらっと見ると、サキと志織が階段を降りて行っている。

◯ファーストフード店・店内
   制服姿のサキと志織がジュースを飲みながら話している。
志織「つーか、よくあの出会いで付き合おうってなるよね・・・」
サキ「まぁ、とりあえずお礼は言っとくべきかなと思って」
志織「じゃがいもキャッチしてくれてありがとうって?笑」
サキ「まぁ、そう。そしたら・・・」
志織「呆れてたでしょ?」
サキ「いや、バター取っちゃってゴメンって」
   志織、爆笑する。
志織「あんたそれ聞いてどう思ったの?」
サキ「そりゃ・・・」
志織「そりゃ・・・?」
サキ「きゅんとしたよ」
志織「なぜ!?笑」
   お腹を抱えて笑う志織。
サキ「ちょっと笑い過ぎ!」
志織「ごめん、ごめん!・・・あ、この後どうする?」
サキ「ごめん、私この後バイト」
志織「夏休みずっとバイトだね。愛しい人の誕生日のためだっけ?」
サキ「まぁね。あ、今度買いに行くの付き合ってよ」
志織「オッケー!じゃがバターより面白いやつね」
サキ「面白くなくていい!」
   笑い合うサキと志織。

   × × × (回想終わり)

◯サキの部屋(夜)
   サキ、パソコンを見ながら電話をしている。
サキ「夏休みバイトしまくって、新学期に志織と買いに行ったんだった」
志織の声「そっか〜、あの時が慎二くんの時か。じゃあ、9月だね」
サキ「そう、9月22日。思い出したの」

   慎二にプレゼントを渡すシーンが思い出される。
   慎二は、野球のユニホーム姿。

志織の声「何あげたんだっけ?」
サキ「CD」
志織の声「そうだっけ?誰の?」
サキ「レミオロメンの」
志織の声「わぁ〜、懐かしい」
サキ「流行ったじゃん、粉雪」
志織の声「あぁ、粉雪ね!しっかり溶けちゃったねぇ〜」
サキ「うるさい!」
   笑い合う2人。
志織の声「で、ログインできた?」
サキ「今、パソコンの前でございます」
志織の声「私までドキドキしてきた」
   サキ、キーボードを打つ。
サキ「ってことで、慎二の誕生日は19910922と。えいっ」
   パスワードを入力して、ログインボタンを押す。

T「パスワードが間違っています」
   画面を見て驚き、固まるサキ。
サキ「えっ」
志織「どうした?」
サキ「入れない…」
志織「慎二じゃないかぁ〜」
   うなだれるサキと志織。
サキ「絶対消してやる・・・待ってろよ黒歴史め〜!」
   パソコンの「パスワードが間違っています」の文字を見つめるサキ。

T「足あと:俊也」

T「To be continued」


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